面白かった!!!文章が美しくてよどみなくスラスラと読めてしまう!
一日で読める長さなので、手に汗を握ってきっと一息に読めてしまうことでしょう。
児童書のような安心感があります。
アムリタは隣国に囚われた人質の姫だった。
長い年月が反抗心を折り、祖国の安寧のため大人しく鳥籠の中で息をしているだけの生活だった。
だから、この悪辣で下品な王に求められた婚姻も、祖国のため受けるつもりだった。1秒前までは。
セクハラ・モラハラ・パワハラ、ハラスメントのフルコース、ロリコン激ヤバおぢにキスを迫られた瞬間、気が付けばその頬を張っていた。
きっとそれは乙女の本能からの拒絶である。
そして、その反抗の代償に送られたのは呪いだった。命を蝕み、そして死後は二度と人には生まれ変われない、そういう呪いだ。
人は転生を繰り返しながら善い業(善行)を詰み、いつかは仏となり人の輪廻から開放される。
そういう信仰の中、二度と人になれないということは、徳を重ねる機会を奪われ、永劫地上を畜生として過ごし続けなくてはならないということ。
死んでいくには心残りが多すぎるのに、来世に希望をかけることも叶わない。
悲嘆にくれる姫に、蛇は言った。
「どうせ未来がないのなら、今心残りを無くせばいい」
その通りだと思った。
どうせ叶わぬ輪廻ならば、思う存分悪業を重ねても結果は同じ。
開き直り、覚悟を決めた王女はただ死ぬ時を待つのはやめた。
報復を決めたのである。