第31話

「おー、更に赤くなった」


「っ、ばか」



朝から心臓に悪い。


そんな私を他所に、あろう事か煌は両手を頬から離してそのままわたしの肩をポン、と押した。


構えていなかった私はあっけなくベッドへと再び倒れる。



「こ、う」


「チッ、うぜぇ」



出てきた言葉に息を呑むけど、視線は私には向いていなくて、スルリと首筋に指を這わせる。


そこには、蒼が付けたであろう赤い痕。


分からずにキョトンとする杏璃の足元まで下がり、膝についている絆創膏に唇を落とした。



「怪我、してんじゃねぇ」


「ごめんなさい」

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Cruel beasts ナル @mii-000

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