蒼の色は、今日も葵い。

片田舎から上京してきた大学生の葵は特殊な事情を隠し持って育ってきた。


安いアパートに住み、念願の一人暮らしを始めた葵だがその日の夜、隣人と早速トラブルを起こしてしまう。気分が晴れないまま大学に出向くとそこにいたのは昨日喧嘩をしたはずの隣人――早乙女 詩がそこにはいたのであった。

事あるごとに顔を合わせるので、そのたびに喧嘩を繰り返すが壁一枚を通じて二人はお互いの共通点を知る。互いが抱えている悩みや不安を話していくうちに距離が近くなっていく。いけ好かないと思っていた詩にも実は抱えている心の内が存在し、その感情を知る度にもっと互いのことが知りたくなってしまう二人。


「―――僕、もっと詩のこと知りたいよ。いっぱい色んなことを話そうよ」
「俺、葵の目の色が好きだ。うん、目がな！…お前が！と…続きを読む