『ニコちゃん先生の週末ごはん』レビュー
── 言葉にしない優しさが、ちゃんと伝わる──
レビュアー:ひまえび
この物語には、大きな出来事はありません。
けれど、あたたかなスープのように、読後にほっと心が満たされます。
先生と生徒──その一線を互いに意識しながらも、静かに縮まっていく距離。
「またね」の言葉が、こんなにも切なく、優しく響いたのは久しぶりですね。
大人になってから出会う“好き”の気持ちは、派手ではないけれど深くて静か。
そして、それを無理に言葉にせず、大切に胸にしまっておくことにも、確かな愛があります。
『ニコちゃん先生の週末ごはん』は、そんな“大人のためのラブストーリー”です。
読後にじんわりと優しさが残る、素敵な一編でした。