魔法少女が灯す希望──壊れゆく世界の片隅で

 まるで終末の空に、一筋の祈りが射し込んでくるような物語でした。

 『魔法少女たちの終末戦争 少女と魔法少女の願い事』は、ただのバトルファンタジーではありません。そこに描かれているのは、戦う者と支える者、両者の「願い」が交錯する、静かで力強い群像劇。

 少女たちのひとつひとつの選択が、破壊と再生の狭間にやさしく灯りをともします。
ときに笑い、ときに胸が締めつけられるような描写のなかに、「守りたい」という言葉では足りない感情が、そっと息づいています。魔法がただの力ではなく、誰かの心から生まれるものとして描かれているのが、何より印象的でした。

 きっとあなたも、読み終えたあとに「祈る」という行為の意味を、少しだけ見つめ直すことになるはずです。

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