大切なことは目に見えない。されど『ほし』が繋いでいる

今はまだ苦く、刺すような痛みと痺れを伴う、ウイスキーと煙草の味。

それはふたりを結ぶ過去と想いの象徴で、当時の痛みにそっと寄り添ってくれる。

そしていま、それは異なる種類の甘やかな痺れと、熱と混じり合い、意味を上書き、更新していくのかもしれない。

『なつくとは「絆を結ぶこと」だと言い、それには「がまん強く」ふたりの距離を縮めていくことが必要だ』

アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの小説『星の王子さま』の話中に出てくるキツネの言葉通り、ふたりは大切に距離を縮めてきたように感じました。

大切なことは目に見えないけれど、それを象徴し、繋ぐものはある。
それがふたりにとっての、煙草とウイスキーだったーー

読後の余韻の素晴らしい作品でした。

ありがとうございます。


(……恋してぇー)

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