吹く風に歌う

福山典雅

吹く風に歌う

少し泣けたとつぶやく君の夏空よ 風にはためきうなれ 


寝てるに知らぬまばたきするに気づかぬままに咲く花のさよなら


孤独、孤独を抱きて会う、そこに吹く風は原初の、君の 


僕の複雑さをコッホ雪片で結んでも、君の想う僕は誰にもわかる訳がない


に花火、湖面に映り波立って、背を向けた日のキレイ


君が問いかけた強張りは、完全な虚ろを手に入れられなかった苦み


ラムネ瓶カランと鳴って僕のターン、膨張した君の涙を消し去りたい


猫の痛み知る猫と眺める憧憬どうけいに、教えてほしい何が悪かったのか


世界のひずみに佇んで、君が笑った、ひとしきりとき跳躍ちょうやく


眼鏡越しのこの片思いにしおり挟んで十七歳をいまぞ知る


その恋はいらない、僕の滲んだ視界にはこれでもかの恋映こいば


僕はまだここにいて君を詠む、君を想う事に知らぬまに焦げついた僕


この世界線の孤独に みまがう違和感のはじめ吹く風に歌う




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吹く風に歌う 福山典雅 @matoifujino

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