終章 1
目が覚めると横で寝息がした。眠ったシリムがすぅすぅと静かに呼吸している。睫毛長いな、と寝起きのぼんやりとした頭で思いつつ、サスは身を起こした。
すると、腕を掴まれて寝床に引き戻された。不満そうなシリムの顔と対面する。
「どうして無視するの」
「無視って……君は眠ってたじゃないか」
「寝たふりだよ。わたしが眠らないこと知ってるくせに」
「じゃあ、なんで寝たふりを」
「サスなら目が覚めてわたしの寝顔見たら、頭をふわふわ撫でて『ふふ……』って笑ってくれるかなと思って」
「朝から期待が重いな──」
「もう一回やり直してもいいよ?」
「うーん……でも起きちゃったしな……」
「いーーーーーつまでやってんですか!」
カンカンカンカン、と鍋の底をスプーンで叩きながら、レオナが顔を出した。
「ローズミル出発の日だっていうのに、よく平常運転でやってられますね。とっととご飯食べて、この部屋引き払う準備しますよ!」
もうその日が来たのか、とサスは茫洋とした気分になる。潜伏派による攻勢から一ヶ月が過ぎていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます