第11話 死神の大太刀 什壱
「集落内の骸の除去、完了しました。」
部下から報告を受けた
「ご苦労さん。休む時間無く仕事を頼んで申し訳ないが、防御柵構築の方に加わってくれ。今は少しでも時間が惜しい。」
部下は短い返事をして、構築の手が遅い場所の手助けに向かった。
盗賊討伐の拠点はこの集落である。故に守りを固めておく必要がある。それに、職人達が作った武器が残っている。未だ出回っていないこの品が、新作なのか出来損ないなのかは判別できない。けれど、ここを奴らに占拠されては拠点を失うだけでなく、奴らの装備が・・・特に武器が整ってしまう。指揮を取る者としては是が非でもそれは避けたい。
皆の頑張りのおかげで、防御柵の構築は想定より早く完成しそうだ。これで奇襲を受けても奴らの出足を遅らせることができる。
一方で、山の捜索を命じた者達からの報告は未だ無い。
「今の持ち場を終わらせた者から休憩に入れ。何時襲撃を受けるかも分からない。各自、警戒だけは怠るなよ。」
「誰かが戦っている。この方角は・・・
昨夜見た
「
盗賊達が組織立って動いているのならば、奴等の同時攻撃にも警戒しなければならない。
「軽度臨戦態勢で待機に変更だ。各自持ち場に急いでくれ。ゆっくり休ませてやることができないのは悪いと思っている。だが、全ては命が合っての話だ。」
「承知しました。皆死にたくはありませんからな。」
臨戦態勢になって暫く時が流れた。未だに盗賊達が攻撃を仕掛けて来る気配はない。今は戦闘の音が途絶えている。
「警戒しすぎ・・・だったか?」
茂る木々が擦れる音が聞こえた。それは戦闘音が聞こえた方角。木々の隙間に複数の人影が現れる。身を低くしているので、目で見える情報には限りがある。
鎧を身に着けている者が居る、数名。その後に続いている者達は軽装。動きはゆっくりだ。負傷しているのだろうか・・・。
人影の一つが手を上げた。それから手信号で身を隠すように指示を出している。それに従って、他の人影が見を隠し始める。おそらく手信号を出しているのが奴らの長。手信号には見覚えがある。
「あれは・・・。」
「柵か。昨夜は無かった。おそらくは
この集落には
現在でこの場を仕切っているのが
予測を立てるならば、姿を表したのが俺だと確認してもすぐにあれが姿を見せるとは考え難い。可能性として、職人を人質に俺が斥候として使われている場合があるから。姿を見せないのはその一点を警戒しているからだろう。この場には武器がある。それが盗賊達の手に渡るのは悪手と考えるだろうからな。
それならば後ろに隠れている職人達と兵を見せればその警戒を解くだろうか?
その場合は、この集落が盗賊達に占拠されていた場合にこちらの危険が増す。盗賊達が弓を扱うのは確認済み。姿を見せた職人達なんて野鳥を射抜くより容易いだろう。
この場は俺と
「我は狗神家が家臣、
そこまで大きい声ではなかった。ただ、その声は
「良かった、無事だったか。」
「あぁ、この通りだ。職人達を連れてここを離れていた。先に
「後ろに隠れているのは職人と数名の兵だ。」
「それで、
「彼等には殿を務めてもらった。腕が立つから二人だから、盗賊共を蹴散らして戻ってくるだろうよ。」
「・・・そうか。」
呟いた
全員が柵の中へ入った時、森の探索へ行っていた二つの部隊が帰ってきた。
「こちらは何も見つけることができませんでした。」
「こちらも同様に・・・。」
報告を受け終えると、今度は
「
「俺に合流するように言って、彼は一人で盗賊達を追った。」
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