第7話 死神の大太刀 漆
山道に土煙が舞っている。数騎の騎兵が細い道を駆けているためだ。
部隊の指揮を任された
表面上は上手く隠しているが、
「早いな、もう発つのか。」
背後から声をかけられた
「これは
「そうか。」
「
「
「そうだな。」
「しかし、その数で盗賊の相手は重荷であろう。残党とは言え、まだまだ奴等の数は多そうだからな。故に騎兵三十騎を用意した。さっさと殲滅してこい。」
ニヤリと笑った
「はい、必ずや。」
屋敷の外へ向かおうとした時、突如聞こえる異音。一瞬何が起こったのか分からなかった。けれど、その異音と同時に額に違和感があった。
額を守る防具が割れていた。これは
これは何を暗示しているのだ。
早く
職人達の集落に向かう際、二箇所に骸の池があった。これは
餓狼の強さは人間の域を超えている。
部隊は
集落の中には数頭の馬が見えた。鞍を見れば
このまま集落に入って二人と合流。すでに職人達への聞き込みは終えているはず。ならば、少し休んだ後で盗賊共の掃討に向かえばいい。
「止まれ。」
後方で叫び声が上がった。声に反応し、皆が一斉に手綱を引く。
進行が停止する中で一騎だけが隊列から飛び出した。黒い外套纏ったその者が背負っていた大太刀を抜き放つ。漆黒の刀身が姿を表す。
その直後、集落から湧き上がる様に矢が放たれた。目視で数える事ができないほどの数。点でしか見えていなかった矢がみるみる大きくなる。
「これは盗賊達の襲撃?集落は既に奴等の手に落ちているってことか。」
兵は無傷。これからの作戦続行にも支障はない。
これも全ては
集落の中から悲鳴と金属が打ち合う音が聞こえ始めた。
「俺達も突入するぞ。」
馬が倒れたことで餓狼は落馬して地面に打ちつけられた。餓狼の体勢が崩れる。
数人が一斉に襲いかかってきた。
盗賊数人の体が地を跳ねて転がった。
「くそ、痛ってぇな・・・。」
先の一撃を見て臆した盗賊達が
盗賊は名誉より命の金。死んだら面子も糞もない。
この場を支配しているのは
離れた場所から馬の足音が聞こえる。
冷静に状況を分析した
「それを待っているのは・・・らしくないよな。」
地面を蹴って盗賊達との距離を一気に詰めた。
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