第2話 死神の大太刀 弐
「一大事でございます。」
そう叫びながら飛んで来たのは、
家主である
「殿。一大事でございます。
そんな川が赤く染まった。一大事なのは間違いない。
「原因は?」
「今は何も情報がありません。現段階では怪異によるものとしか。原因の究明には倅を向かわせました故。今しばらくお待ちいただければと。」
「そうか、情報が入り次第伝えるように。」
読んでいた書物を閉じた
血の川が流れるような天候ではない。
今回の件、赤の原因が血であるなら、失われた命の数は相当なものだ。
今は待つしかない。これは時間が解決してくれる問題だ。予測できうる事象に対策を講じておくとしよう。
盗賊達の仲間割れ、職人達の集落が襲われた、何者かが盗賊達を切伏せた。それが人間なら問題ない。だが、大型の獣でだったならどうだ。それこそ討伐隊を編成しなければならない。旅人の線も考えたが、流れた血の量を考えるとそれは現実的ではない。
どんな可能性が残るにせよ、兵の編成を済ませておくべき状況だ。ならばそれだけでも済ませて置くべきか。
「誰かおらんか。」
「殿、お呼びですか。」
声と共に現れた
「
「御意。」
一言告げた
突然の雨に大きな木を見つけた時は運が良いと思った。雨宿りのついでに休もう、そうも思った。だけど、完全に眠ってしまっていた。それは完全な誤算だった。
既に太陽は山の向こう側。日が落ちて幾分経つ。雨上がりなので空気が冷えている。外套を身に着けていて良かった。だが、その外套もやや湿っぽい。
「夕暮れ前には宿場まで行こうと思っていたんだが。」
溜息混じりに呟いて頭をかいた。
深呼吸を数回繰り返した
大きな木から離れて山道へ出る。とりあえずの目的地は宿場。今から向かえば夜が更ける前にはたどり着けるだろう。
彼等が山道を走っている理由は、
「はぁ、どうして俺が・・・調査なら他の者に向かわせればいいじゃないか。面倒くさいな、まったく。」
「はは、そう言うなよ。
答えたのは右側を走る
「近頃戦も無いし、こんな任務でもコツコツとこなさないと、
不満げな顔の
「何にしたって職人達のたまり場まで行けば良いんでしょう?行けば何か分かるだろうし、さっさと終わらせちゃおう。」
「・・・まったく、ダルい仕事を押し付けられたもんだ。仕方ない、急ぐか。」
騎馬隊が走ること暫く。正面から一台の馬車が向かって来るのが見えた。
馬車の御者は
馬車が停まると、御者の男が慌てて馬車から飛び降りた。
「お侍様、この先に地獄が。死神が。大変なんです。」
駆け寄って来た男は脈絡のない言葉を羅列している。
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