第38話

後ろから聞こえた声にドキッとしたのは彼の声だったから。



ゆっくりと振り向く。



瑠衣ちゃんといた彼が、今はあたしの後ろにいた。



「……何?」


「あぁ、コレ」



そう言われて手渡されるのはサッカーのDVDで。



「これ、観たいって言ってただろ?貸してやるよ」


「…ありがと」


「あぁ。すげぇ面白いよこのDVD」



彼は鈍感で、でも優しくて。



「帆波(ほなみ)、」




彼に名前を呼ばれて――…胸が高鳴る。




「ありがとな」


「…え?」


「瑠衣のこと。お前にも話…聞いてもらったし」

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