第14話

「桃子。妄想中悪いけど、昨日空から電話あってさ、週末帰れなくなったって」


「ええ!?」


「他の女とデートだな」


「絶対ないー!」



けれどりっくんの衝撃的な言葉に私は思わず叫び声を上げてしまった。


涙目になる私をりっくんはケラケラと笑ってる。

どうして! りっくん一体いつからこんな意地悪な子になったの!!



「ま、無いと思うけどな。卒業間近だしゼミの送別会だって言ってたし。桃子に泣かれたくないから先に話しておいてくれって」


「なんで直接教えてくれないの~」


「夜中だったんだよ。どうせ今晩電話する気だろ? なんで空は桃子に対してあんな心配性なんだよ。俺を間に挟むな」


「優しいからね。そうちゃんは。りっくんと違って」


「はいはい。じゃーな」


「あ! りっくん、春休み……」



りっくんは、私の話かけた言葉を無視するみたいに大きな背中を私に向けて、ひらひらと手を振った。


もう、友達の輪に戻っている。



私は、何となく拒絶されたような気になって無理やり声をかけられない。



追いかけて行って「ちゃんと聞いてよ」って。いつの間にか言えなくなった。



「やっぱ仲いいじゃない」


「……」



奈津ちゃんは私に羨ましいと言う。

仲がいいと言う。


でも違う。

何かが違う。


喧嘩した訳じゃない。

話さなくなったわけでもない。


でもなんとなく、距離をとられているような気がするんだ……

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