第9話
大学進学の為そうちゃんは県外で一人暮らしを始めた。
一緒にいるのが当たり前すぎた二人のうちの一人が私の傍から初めていなくなった。
そうちゃんとは物理的な距離が生まれた。
とても寂しくて心細かったけど、元々そうちゃんは私たちよりも年上だったから、それは仕方がないことだとも思えた。
けれど何故か、そうちゃんがいなくなってから、高校生になってからは特に、私とりっくんの距離も遠くなってしまった気がする。
小学生の頃、私より背が低くて力が弱くて、でも足が速かったりっくんは、中学から高校にかけて40cmも身長が伸びた。
それに伴い何故か頭もよくなった。
ずっとサッカー部のレギュラーで理系特進クラス。
先日受験した大学も地元で一番難しい国公立大学だ。
帰宅部で落ちこぼれクラス、進学先も無難な私立で早々に決めてしまった私とは大違い。
中学三年生の時、私はそうちゃんがいなくなった事が寂しくて寂しくて……
その上りっくんとまで離れてしまったらどうしたらいいのか全然分からなくて……
だから、呆れるりっくんを尻目に猛勉強をしてこの高校に滑り込んだ。
そうちゃんは「モモは受かると思ってた」と笑ってくれて、りっくんは「まさか受かると思わなかった」とびっくりしていた。
そうちゃんの母校にりっくんと一緒に通える事になった時は本当に嬉しかったのに……
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