第5話

「モモ。俺は、モモが好きだよ」


「だから、そうじゃなくて」


「うん。そうじゃなくて、モモが大好きだ」




優しく微笑んで私を見つめたそうちゃんの言葉の意味が、私は一瞬理解ができなくて。


泣きながら怒っていた筈の私は口も目も見開いたまま、ただ茫然と彼を見つめ返して。


そしてそんな私の間の抜けた表情に彼は苦笑した。



「モモ。俺が四年後こっちに帰ってきて、その時モモの気持ちが変わらなかったら、俺の恋人になってくれる?」



そして彼は微笑んで、そう言ったんだ。




それが、四年前の初春の話……



あの頃の私は、完璧な未来を信じていた。

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