第3話
ふと顔を上げれば心配そうな課長と目が合った。
そろそろ助け舟を出そうかと思案しているんだろう。
イケメンでは無いけど爽やかで少し気が弱い三十代半ばの西山課長に困った様に、けれど口角を上げて笑顔を見せた。
まだ、大丈夫。
そうしてグラスに氷を入れて焼酎を半分程注いで気付かれる前に手早く水を注ぐ。
「竹山さん。乾杯しましょ?」
振り向いて小首を傾げニコリと笑う。
目線は竹山さんの目よりもやや、上。
自然と笑えるんだよね。
浮き気味の人工毛。
この手の技術の進歩は目覚ましい筈なのに、なんでこの人こんなに分かりやすいカツラなんだろう。
大手の重役なんだから、お金がない訳じゃ無い筈なのに……
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