小説の楽しさのひとつに、意外性があります。
ある程度の小説を読んでいると、物語の流れや結末がそれなりに予測できるし、また出来なくても文章力や表現力から、そのロジックの飛躍する範疇、いわゆるストーリー展開がおおよそわかって来ます。
これは小説と言うコンテンツが、言葉をもって何かを伝えようとする上で、論理性を無視できない所に起因します。
ものすごく語弊がありますが、丁寧に書き込まれ完成されている小説であればあるほど、冒頭5行程度を読めば、物語のロジックが予測でき、面白いか、つまらないか、ある程度は判断出来るかと思います。皆様の意識している部分としていない部分で、少し読んでみて「なんとなく面白そうだ」と感じるあの感覚と同じです。
ですが、時折この様な予測を軽々と越えて来る小説があります。
本作を拝読させて頂き、「寝坊」というその着眼、着想において非常に興味をそそられました。さらに読み進めるごとにそのロジックは、読者の予測を「常に裏切る」という点においてずば抜けております。そして一切飽きさせません。
ゆえに、お勧め致します。
多読をされた読者様であればある程、この展開にまるで予測がつかず、非常にお楽しみ頂けるのではないでしょうか? 私はそう思います。そして結末を知ると、私の書いている意味がより鮮明に判って頂けるかと思います。とても面白いです(^^)/
皆様、宜しくお願い致します( ;∀;)
読み進めて、「あるある」な共感が半端なかったです。
布団という名の渦、または蟻地獄。
ちょっと見たらまだ余裕のある時間。もうちょっと横になっていられるかな、と思う感じ。
でも、気が付いたら時間が飛んでいる。「いつ眠った!?」、「そろそろ起きるか」と考える。
でも、「なぜ時計が進んでいるのだ!!」と更なる奇妙な事態に。
眠りと目覚めの境目が曖昧で、気が付けば何度も眠ってしまう時間。これは誰にでもある物だと思います。
そういう「寄せては返す波」のように、眠りに包まれたり目覚めたりを繰り返している主人公の「ヒデちゃん」ですが、そんな波打ち際からちゃんと陸に上がれるのか。
そんな緊張感の先で、実は「思わぬ事実」が発生する。
ヒデちゃんが学校や会社などに遅刻しちゃう話かと思って読んでたら、「まさかの」だよ!!!
見事にしてやられました。うーむ、これは素晴らしい!!!
是非とも読んで下さい。トロンと共感「あるある!」からの、目も覚めるような読後感!! すっきり脳も覚醒します。
時代モノのジャンルではありますが、堅苦しくはありません。
軽妙でコミカルでとにかくノリノリな雰囲気が面白く楽しい気分にさせてくれます。
お布団で二度寝どころではない、何度寝かもわからないほど寝坊しているこの男、遅刻確定時の感想やら、誰にとも無く言う言い訳がいちいち小賢しい。このキャラクター性自体も面白いのですが、実は、歴史好きなら誰もが知っている有名なあの人。
そう、天下に轟くあの大遅刻を題材にしたお話なのです。
それが誰なのか、歴史上のどの事件なのか、ぜひともその目でお確かめください。
心地良い気持ちにさせてくれるはずです。まるで、二度寝のように……。