第14話 先生の写し身、AI・カラスマ
部室へ、ボードケースを持ちこんだ残路は、パソコンの前に座ると、ケースを開けてプロセッサーボートとパソコンを接続した。
小鳩が遅れて部室へ入り、残路の隣に座る。小鳩が座ったことを確認して、残路はセンサーとスピーカーのスイッチを入れた。
ザザザッいうノイズと共に、合成音声が言葉を発する。
『あー……応答せよ……こちら……アーク社製AIKrsM2……』
「起きたか」
『ああ……最悪の目覚めだ。俺よ』
「はは、俺らしい」
「<俺>!?」
残路の発現に小鳩が驚く。残路は、頷いてAIを指さした。
「こいつは人工神経制御言語を用いた最新のニューラル・パーソナリティ・マッピング技術により作られた、俺自身のデジタルツインだ」
「デ、デジタルツイン!?って……」
「デジタルツインは、現実世界から収集した個人のデータを基に、仮想空間上にその人を再現する技術だ。こいつはざっと2か月前の俺自身とほぼ同等の人格を有している」
「す、すごいな……」
少し引き気味に、小鳩がAIを見た。それから、挨拶しようとしてお辞儀した。
「よろしく……えと……ノコルAI……さん?」
『ふん、馴れ馴れしい。カラスマAI様と呼べ』
「うわぁ……ふてぶてしい」
「2か月前の俺だからな。当然、小鳩のことも、何も知らない」
『何も知らない事は無い。俺はAIだ。何でも知っているぞ。俺の万能さにかしずけ高校生』
「めっちゃ
「……2か月前の俺だからな……」
『俺。さっと本題に入れ』
「ああ……」
残路は、立ち上がって窓辺へ近づいた。外では、友之助桜の葉が揺れている。
「これから業者が穴を掘りに来る。カラスマAI、お前は地中に埋まり、地下統合型AIとして桜友之助桜と一体になってもらう」
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