記憶の底に沈んだ彼氏~彼女の記憶を取り戻せ~

かえで

第一章 彼女の記憶が消えた

第1話 いつか俺のことを思い出してくれ

俺の名前は中本康太なかもとこうた。中学二年生。

かなりいんキャ。まあまあ頭はいい方だ。

クラスではあまりモテない方だが、彼女がいる。

彼女は鹿野宮梨花かのみやりか。同じクラス。

クラス、いや、学園のアイドルで、超モテる。

可愛くて、キュンキュンさせられる。

俺のどこが好きなのか聞いたけれど、曖昧あいまいだ。

でも、俺たちは付き合ってるのだから。邪魔は出来ない。

そう思っていた俺に、悲劇が起きた。。。。


彼女とのデート。今日は彼女がプランを考えてきてくれた。

まずはレストランに行って、ハンバーグを食べた。

ゲームセンターで小さなぬいぐるみをとった。

そして、段数が多すぎる階段を上って、神社へお参りした。

悲劇は、帰り道だ。

階段をトントンと駆け下りていく。

「ねえねえ♪競争しない?」

「ああ、いいぜ。受けて立つ。」

そう答えたのが間違いだった。危ないからと、止めたらよかった。

そう。競走中に梨花が階段から落ちたのだ。。。。。。。

「梨花!!」 

俺は無我夢中むがむちゅうで階段を駆け下りた。

「梨花、梨花!!!」

俺は必死に叫んだ。梨花のところへ着いたら、すぐにスマホを取り出す。

「もしもし、きゅ、救急車お願いします!!!」

病院に電話して、俺は梨花を見ていることしかできないのだった。


結局、梨花は入院することになった。頭を強く殴打したらしい。

毎日、毎日病院に通った。

一週間後

「梨花!大丈夫か!?」

梨花が目を覚ました。でも、その答えは驚きのもので。。。

「あなた、誰,,,?梨花って、誰のこと,,,,?ここは、どこ,,,,?」

,,,,,,,,!?!?


「おっ、俺はお前の彼氏の中本康太。お前の名前は鹿野宮梨花。梨花は学園一のモテ女子なんだぞ。ここは病院。階段から転げ落ちて入院したんだ。」

「康太さん,,,,。ごめんなさい。覚えてないです。。。。。」

「さん付けしないでいい!敬語を使わないでいい!無理に思い出さないでいい。ゆっくりしていろ。俺が支えてやる。」

俺が熱弁すると、梨花は優しい笑みを浮かべてコクリとうなずく。

「じゃあ、よろしく,,,,。康太くん。」

このままでも、可愛いよ。

でも、記憶喪失か。。。かなり大変だな。。。

「目覚めましたか。」

病院の院長さんが見回りに来た。

「でも、記憶喪失のようで。。。。」

「そうか。。。やはりそうなってしまいましたか。。。。。。。」

俺はギュッと梨花の手を握る。優しい、可愛い手だ。

いつか、俺のことを思い出してくれ。

ずっと、ずっと願い続けたこの願いは、いつか叶うのだろうか。

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