いじめ、自殺、あるいは奇病。
自分ではない誰かの不幸を興味本位で、またはエンタメとして喜んで見てしまう。
そんな人、いるのではないでしょうか。
私もそうでした。
悪意なく向けられる悪意の眼差しが自分に、自分の愛する人に向いた時、どう感じるのか。
後ろめたさに食い込んでくる物語です。
誰もが手にする通信機器を通じて伝染する怪異に、人はどう立ち向かうのか?
「リング」や「着信アリ」を連想する立ち上がりから、本物の怪異を相手に対処する警察と自衛隊の仕組みが描かれます。
人物は過不足なく描かれ、設定説明で中弛みする事もなく、ホラーの世界の真ん中に入って行けます。
大変楽しめました!
特殊激甚災害。それは政府の中央防災会議が定めた基準により指定され、防災省及び
災害派遣に当たる現場最前線の者達以外の
国民には秘匿される。
主に、神仏や御霊、魑魅魍魎による祟りや
呪いの類に指定されるものである。
この作品はまさに作者の集大成と呼んでも
決して過言ではないだろう。
元来、幻想的な美しさを纏う掌編を多く
手掛けて来た作者の、その一つひとつが
具に盛り込まれた、仮想現実的な試みでも
ある。元より、作者の美しく妖しい掌編の
中に 不穏な既視感 を覚えた読者は
多い筈だ。
何故ならば、この神代の世界は現実とは
常に地続きである。
生と死、此岸と彼岸、崇め奉る行為と
毀損する行為。
それは常に表裏一体となって、時にその
陌間を越境しているのだ。
作者の美しく妖しい不穏な物語たちも
同様である。是非ともこの物語を読み
終えたなら『ケース』の 根源 にも是非
立ち寄られる事を。