「あの夢を見たのは、これで9回目だった。」 ひだまり語録(番外編)

浅葱 ひな

あの夢を見たのは、これで9回目だった。

「あの夢を見たのは、これで9回目だった。」



「どうした? 突然?」


 そんな疑問をぶつけてきたのは、現在、我が家に我が物顔で長期滞在して、わたしの正面に座っている、中学来の親友だ。通ってる大学が休みに入った途端、襲来してきた。


「あの夢って、例のあれか? まだ見てんのか? もう15年くらい前のことだろ?」

「う〜ん、まだ、月一つきいちくらいは見てる。本当にいい迷惑だよね」


 ふたりで話す『あの夢』とは、わたしが幼少の頃、酔った祖父に手をかけられた事件のことで、首を絞められて意識が落ちる、と同時に夢から覚め、そこから怖くて眠れなくなるのだ。そんな状態が、もうすぐ3年になろうとしている。

 しかし、その頃とは生活環境が大きく変わったからだろうか、最近ではかなり改善されてきている。いい傾向ではある。


「それで? 9回目がどうしたんだ?」

「うん、彼とつきあうきっかけが、その頃だったかなぁ〜って」

「あぁ、あれか? 倒れた時に抱えられて保健室まで連れてってもらって、迎えにきたお父さんの前でもお姫さま抱っこされて(おもしろいお話ではありませんが、詳細はこちらに→https://kakuyomu.jp/works/1177354055294354698/episodes/16816927863256542468)……。コイツの逞しさと頼もしさを改めて認識して、きゅんっ♡ って、目が♡だった時のことか?」

「コイツって失礼だなぁ〜。でも、あの時は、みんなに騒がれて恥ずかしかったんだからね! それを責める余裕もなかったけど」

「だから、コイツの胸に顔埋めてたんだろ? あの時、耳まで真っ赤だったぞ!」

「そういうことを、今更言うな!」



「そんなこと言う割には、わたしの目の前で繰り広げられてるイチャイチャはなんだ?」

「イチャイチャなんてしてないよねぇ〜」

「彼氏の膝の上に座り込むのがイチャイチャじゃなければ、なんだって言うんだ? そうか! やっぱり、彼氏がいないわたしへの当てつけだな?」

「彼氏くらい作ればいいじゃん。まだ、うちのお父さん狙ってんの? そんなことはどうでもいいんだけど、どちらかといえば、長期滞在してるキミへの当てつけじゃないかなぁ……?」

「く、悔しいっ!」

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「あの夢を見たのは、これで9回目だった。」 ひだまり語録(番外編) 浅葱 ひな @asagihina

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