3月21日 ファンタジー
※『女の子の目線が自分と同一化したり、視点がコロコロ変わったりするのは夢特有のものです』
可愛い女の子が狭い部屋の二つあるベッドの左側で寝てる。
右隣のベッドには甲冑を着た男が、もう起きて荷物の用意をしている。
自分は起きたら日本の中で産まれた世界にいると思って(寝てる時はハワイの中だった)でも、随分ファンタジーの世界だ、とも思った。
元の世界との唯一の繋がりはアイフォーンぐらい充電が減るのが早いガラケーなので、毎日寝る前に充電ケーブルに繋がなければならない。
ガラケーを見て、腕時計を見て、日時計を見て、すべての時間を合わせる。
時差が毎日あるので、しっかり合わせなければならない。
夜だと思ったら朝だったり昼だったりする。
「おはよー。今日は、ここの宿の下でクエストだっけー? はちみつ取れるといいねー」
女の子が喋りかける。
この子も自分と同じく異世界から来たのだが、しっかり順応してる。
そして、おばあちゃんとかに今日はなになにするよーとかってちゃんと連絡を入れている。
偉い。
自分は充電が切れるのが怖くて何もしない。
甲冑の人が立ち上がって
「よーし。行こうか」
と明るく言う。
宿から出る。
光はない日だ、暗い日だ。
海側、つまり下の階層? 宿屋や村がある場所から下の部分(ゲームでいう南側)に行くと
森がある。
森の中には木が沢山生えている。
この後何をするかは知っている。
その根を掘るのだ。
掘ると、赤ピンクっぽいザクロのような実がプチプチ潰れてニチャニチャする。
こんなんではちみつが取れるのかと思いながら、イモ虫もいるし最悪だ。
ただ、たまに青い花が見える。
それを見つけると、ホッとした気持ちになるが、甲冑さんが
「花も売れるから潰さないで回収してねー」
と言う。
早く言って欲しい。
もう根の中はヌルヌルに潰れた実と砂とイモ虫と、花びらをちぎって指でくるくるした時特有の丸まった青色が混然としている。
ムカついていたら、親指程の大きさの蜂が飛んでくる。
さっきから飛んでいたのに、無意識に避けていた。
刺されそうだ。
とりあえず手で捕まえる。
潰さないように袋に入れる。
自分は蜂を捕まえる係をやろうと思い、捕まえてると、袋にいっぱいになった。
いつのまにか場面が変わっている。
「沢山蜂を捕まえてくださってありがとうございます。牧場の牛を刺すんですよ」
「いえいえ」
「えへへ」
甲冑さんと女の子もいる。
「50匹いますね。1匹500円なので、25000円ですよ」
凄い、1日でこんなに!?
あと、はちみつも出す。青い花も出す。
凄い金額になった。
おかしい、こんなに上手く行くはずがない。
女の子は喜んでいる。
自分に「良かったねー!」
とか言ってる。
おかしいなぁ、と思っていたら、
やっぱり夢だった。
朝起きたらやたら寒い。
先は陽が出てたから日時計で時間が解ったが、今回は夜だ。
女の子はもう起きてる。
今回は自分が寝過ごしてる!
やばい支度しなくちゃだ!
焦っていると、
「明日にはここを出るから、今日でこの村は終わりだ。次のところ行くよ」
と甲冑さん。
えー!
と思う。
それは女の子の思考とリンクしたが。
すぐに「もうちょっといたいよねー」と話しかけられた。
夢なので、どちらが話したかはわからない。
窓から外を見ると、藁と石でできた旧時代(江戸時代?)の井戸があり、ここは日本だと実感できた。
と、窓の外から、幼馴染のネズミの男の子が「おーい」なんて話しかける。
こちらも手でも振ろうか、でも照れくさいなと思ってると
「何か解ったか!?」
甲冑さんが颯爽とコミュニケーション取ってくれた。
コミュ力もあってチームの主軸なのだ。
「解りましたよ! 欲の世界なんですよ! それぞれの世界の欲望、つまりはちみつが食べたいとか、目立ちたいとか、沢山ある欲望の世界が球場になり、弾けてるんです! そこも危ないですよ! 早くこっちに!」
見ると、窓の外には道路があり、ネズミ男の子くんは塔の窓から出れずに離れて行った。
あまり感慨はない。
(ここでセーブしておかなければならなかったのに、と今は思う)
甲冑さんが降りるのに続いて、自分もエナジーブレードみたいな蓄光大剣を背中にしょって降りる。
女の子は、降りないみたいだ。
少し寂しい。
さよならのバイバイを手で振って示すが、もうこの時には、これがほとんど夢だと思ってた。
だから、あんまり寂しくない。
ずしん、と。
来たのだ。
成る程、見るからに電気タイプだ。
ピンクの丸いのが出てくるゲームの、可愛くて強い雲のボスのように、上を見上げると黒雲が廻ってる。
その下に、モンハンのフルフルのようなブヨブヨした足が、いくつもズドンズドンと地に足つけている。
足の一つ一つに目がいくつかあるのと同時に、メカのように光る石が付いてる。
高そうで綺麗だが、ここから電気攻撃してそうだ。
くそっ! なんで自分はエナジーブレード装備なんだ!!
どう考えても『電気属性✖️』な敵だ!
だが、自分たちだけでない。
周りには銃を持った仲間やら、なんか他にもいるが処理落ちしたように覚えてない。
ゲームでキャラを切り替えるように、銃の人目線になり、ドドドドと一つの足に連射する。
すると、メカのように光る石が、メーターが減るように銃弾一発毎に光を消していく。
【あっ! こいつ、ダメージが目に見えるタイプだ! そして弱点はこの石だ! やっぱりこの光る石に蓄電してたな!】
そう思ってみんなに伝えたいが、戦闘中にはそんな余裕ない。
甲冑さんを探すが、よくわからない。
また自分? に戻った。
もう誰が自分か混戦状態でよくわからないが、ただ光ってカッコいいだけのエナジーブレードを持ってウロウロしてるのが自分だ。
モンハンp2gで下手くそな自分がガノトトスの足の間はアンチだと思って大剣を振ってはちまちまダメージを喰らっていくように、この電気タイプ大型モンスターの前でもそのようにするしかない。
【上手い表現が見つかりませんでした】
緊急回避とか出来ないので、このままでは踏み潰されて死ぬ! と恐々としてたら!
腹が! お腹がふにふにしている!
何故誰もここを攻撃しないんだ!
ふにふにお腹をぐさっとエナジーブレードで刺すと、ぼたぼた血が落ちてくる。
だが、ダメだ。
顔が溶ける。
頭皮が溶ける。
腕が溶ける。
強塩基性(アルカリ性)の血だったんだ。
血の塊一つ一つが、固形の水酸化ナトリウムのように、身体を溶かしてくる。
死ぬんだなぁ。
ここで、目が覚めた。
あまり、死ぬ時の描写はしたくない。
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