第2話 はじめまして 後編
「あの伊織だしなー! あいつ人嫌いだろ? 特に女子!!」
海斗さんがケラケラと笑う。
確かに、人が嫌いな伊織が信じたこの人たちを……私も、信じたい。
「――何笑ってんだよ」
和やかな空気になった時、聞き慣れた声がした。
「伊織」
私が名前を呼ぶと、伊織はこっちを向いて優しく微笑んだ。
「俺もいるよ~!!」
「……どうも」
伊織の後ろから、ひょこっと優弥が顔を出す。
優弥の隣には、ソックリな顔をした男の子がいる。さっき言ってた弟さんかな?
双子のようだけど、優弥の髪の毛は茶色。隣の男の子は青みがかった黒だから、区別しやすい。
「静弥、この子が鈴だよ!」
「……そぅ」
静弥さんは私をちらっと見て、お店のテーブル席に座った。
「!?」
静弥さんが座った席を見ると、隣にもう一人、本を読んでいる男の人がいた。
(全然気づかなかった……!)
一人びっくりしていると、亜希さんが「よし!」と手を叩く。
「幹部も全員揃ったし、改めて自己紹介しようか。
――俺は
ふわふわした、明るい茶色の髪の毛を揺らして、微笑む亜希さん。
そして、「次は蓮ね」と、静弥さんの隣りにいる男の人に声をかけた。男の人は本を閉じて、私と目を合わせる。
「
黒いサラサラな髪の毛に、口元のほくろが特徴的な蓮さん。
小さく口角を上げて、大人な雰囲気が
「……幹部。
センター分けの前髪から、伊織の綺麗な黒い目が
うん、知ってる。
「同じく幹部の
色素の薄い、男の子にしては少し長めの前髪を耳にかけて、可愛く笑う優弥。
「……幹部、
静弥は優弥と反対の分け目で、眠そうに目を擦っている。
「同じく幹部の
焦げ茶の短髪で、二カッと人懐っこい笑みを浮かべる海斗さん。
伊織は少し恥ずかしそうにしながら、首を触った。
伊織が首を触る癖は、”嬉しい”って思ってる時だ。
(嬉しいって思うほど、仲がいいんだなぁ)
最後に、カウンターで洗い物をしてる理希さんが、「
「
少し微笑むと、みんなが「「「よろしく(!)」」」と返してくれた。
その後は、みんなで他愛のない話をした。例えば、亜希さんと理希さんは四歳違いの兄弟、という話とか。
「そういえば鈴さん、門限とか大丈夫なんですか?」
蓮さんが思い出したように私に話しかけた。
亜希さんは「そうだった!!」と顔を青くする。
「ごめん! 最初に聞いておくべきだったよね……大丈夫?」
「……大丈夫です。一人暮らしなので」
「ええ!? 一人暮らし!?
料理とか、掃除とか全部一人でやってるのっ!?」
「はい。高校生になってから」
優弥が驚いた声を上げる。
「すごいなぁ。俺、この前の家庭科の授業で、ハンバーグ生焼けにしちゃったんだよなぁ」
「生焼けって……逆にすごいですね」
どうやったら生焼けになるんだろう。赤いまま皿に盛ったとか?
(……ていうか、家庭科の授業で、ハンバーグ?)
それ、最近したような気がする。
「あの、優弥と静弥の学校って……」
「
「……は?」
嫌な予感はした。したけども……!!
「同じ、学校なんですね……」
「え、そうなの? やったーっ! 学校でも鈴ちゃんと会えるーー!」
「……鈴でいいですよ、優弥」
「そう? じゃあ鈴って呼ぶ!」
まさか学校も一緒なんて、全然気が付かなかった。
その後も、沢山みんなと喋って……気がついたら、午後八時になっていた。
「……そろそろ帰りますね」
「えー、帰っちゃうの?」
「流石にこれ以上お世話になるわけにはいかないので……お邪魔しました」
私が頭を下げると、皆が「バイバイ」とか「また明日」と言ってくれた。
そのままお店をでた後、私は軽い足取りで帰路についた――。
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