閉ざされた過去を、その『鍵』でこじ開けろ!少女が起こすパラダイムシフト

 この世界には魔法が存在する。けれど全知全能、万能の存在ではなく、それは『鍵』という存在となり遺伝でのみ継承されるものだった——。
 通常『鍵』は貴族の血筋が持つもの。しかし主人公のロッテは貴族の生まれでありながら、赤毛という平民の持つ色と『鍵』をどちらも持って生まれてしまう。
 それ故に実の家族に疎まれ、10年という月日を閉じ込められて暮らした彼女。けれど彼女にはとても強く優しい心と、特殊で強力な転移魔法があり——?

 その魔法の特性から、不名誉な「抱きつき魔」なんて二つ名をもらっても、お話に花を咲かせるだけのご令嬢たちからこれみよがしな嫌味に悪口を言われようとも、直向きに魔法師団でのお仕事に取り組む姿は本当に素敵です。

 そんな彼女を見守るのは魔法師団長のギュンターと副官のフーベルト、春のような優しさの塊でもあるギュンターに、冷静沈着で氷とまで揶揄されるようなフーベルトとの交流や掛け合いも楽しい。

 これまで不遇を貫いていた分、もういっそ幸せになってください! と読者は拳を握り締めそうなお話ですが、そうは簡単にこの世界も進まないもの。
 暗躍する思惑、貴族のしがらみ、権威、嫉妬や慣習。まだ来るか! という試練に彼女はその身一つで立ち向かっていきます。

 後半の展開は面白すぎて一気読みしてしまいました。
 緻密に練られた設定や世界観が、さらにこのお話に深みを増している素晴らしいファンタジーです。

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