第3話
「続いてはー? Nocturne Stellae!」
MCがそう言うと、僕たちはステージに上がる。
挨拶もせずにスタート位置につくと、曲が流れ始める。
まずデビュー曲を披露し、それから自己紹介。
「初めまして、僕たち……」
「「Nocturne Stellaeです!」」
「双子の兄、
「弟の
「「よろしくお願いします!」」
歓声があがる。僕たちのことを知っている人も、もうファンだという人も多いことが見ていてわかる。
「僕たちの初ライブがこんな大きなステージで、こんなに多くの人の前でできること、すごく嬉しいです!」
「僕たちのことを知ってる人も、知らない人も、曲だけ知ってるかもって人も、楽しんでいってください!」
それから曲振り、二曲目を披露し、僕たちのステージは終わった。
僕が今まで受けたことがないほどの歓声を受けたと思う。もちろん僕たちのことを知らない人もいたし、前後他のグループを目当てに来ていた人もいただろう。でも、その人たちも巻き込んで、夢中にさせられたと思う。
それからこのステージで他のグループを見ていたが、僕たちほど盛り上がったグループはいないと思った。
このイベントの結果は数日後に発表される。各ステージ1位と総合1位、あと特別賞があり、配信で発表される。
Astral Vibeは事務所で聡太さんと朔弥さんと見ると聞いていたので、僕たちは家で二人で見ることにした。
Astral Vibeはステージ1位を獲得した。でも僕たちは1位にならなかった。2位以下は発表されないからどうだったのかはわからない。あれだけの自信をもっておいてこの結果になるのかと、ここまでの人生の中で一番落ち込んだ。
そして総合1位はAstral Vibe。同じ空間で見ていなくてよかったとすごく思った。
『……は、Nocturne Stellae!』
配信に飽きてきた頃、タブレットから僕たちのグループ名が聞こえた。
「特別賞だって、星空」
僕は目を疑った。まさか新人が特別賞に選ばれるとは思っていなかったからだ。
説明では、新人が特別賞に選ばれるのは初めてだったそうだ。
「でも何で僕たちが?」
「さぁ……」
『新人とは思えないステージ、それが逆にステージ1位には繋がらなかったようですが、総合では新人ながら上位に入り、確実に観客の心を掴んでいたことは確かです。その躍進を称え、特別賞を贈ります』
「なるほど……?」
「まあ、すごいことだから理由は何でもいいんじゃない?」
その日は久しぶりに夢空の心からの笑顔を見た。
この日を境に、僕たちNocturne Stellaeの人気はうなぎ登りになった。
そしてこのアイドル戦国時代に頂点を取り、Silver Eclipsを超えるアイドルになる。
奇跡的才能と偶然の機会でアイドルに 月影澪央 @reo_neko
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