第3話 青春とかで一度は経験しておきたい貴重なイベント
後日、支払った代金はいつか必ず返すと約束してくれたものの、ナオミの小遣いは平均よりもかなり少なく、ナオミにも友達付き合いによる浪費があったりと、まとまったお金を工面できずに、なかなか返せられなかった。
親に立て替えて貰おうとすれば、間違いなく暫くは小遣いなしになるので親に頼れず。
お年玉とか貯金はしていなかったのかと訊けば、親が預かっており、大人になったら返してくれると言われているらしい。(あっ、これは親に使われているなと)
バイトをすれば良いのでは?と思った人もいるだろう。
残念ながらウチの学校は、今時珍しくバイトが禁止であり、もしバレたりしたら一発退学となる厳しい校則があるのだ。
そんなある日、ナオミが提案してくる。
「お金の代わりに、手作り弁当とかで返すのはどう?」
「手作り弁当?」
「そうそう。なかなか現金はご用意できませんので、現物での支払いで免じていただければ‥‥」
この令和の時代で、現物での取り引き?
んーとカズトが迷う中、ナオミはプレゼンを続ける。
「女子高生の手作り弁当だよ。青春とかで一度は経験しておきたい貴重なイベントだよ。いつか良い思い出になるよ、きっと!」
確かに、他人が‥‥女子が作ってくれた弁当や料理なるものを食べたいと健全の男子学生ならば一度は思うだろう。
カズトは日頃コンビニ弁当や購買で買うパンばかりだったのもあり、その提案に受けることにした。
「わかったよ。材料費とか手間賃とかで価格を算出して、そこから棒引くようにするよ」
そうしてナオミの借金は手作り弁当で弁済することになったのだ。
普通の手作り弁当で材料費とか考慮すれば、700円ぐらいとして見込んでおり、一週間程度で弁済はできるだろうと思っていたのだが‥‥。
提供される弁当は先の通り、手作りだとしても5分程度で作れてしまう手抜き弁当なので、評価額は低かった。
そんなんでも地道に真面目に弁済できていれば良かったのだが、ナオミは友達との付き合いによる遊興費や交通費などを度々カズトに頼(借り)るようになってしまい、気がつけば借金の総額が20万円に膨れてしまっていた。
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