ひろしの一気呵成
与十川 大 (←改淀川大新←淀川大)
まえがき
いやあ、9周年ですねえ。カクヨムさん、おめでとうございます!
九年といえば、私が郷里の県を離れてから今年で九年になります。家人の脳の手術のために他県の大きな都市まで移ったのですが、家人はその数年前から様子がおかしかったので、付き添い自体は十年以上、もっと言えば、家人は視覚障害者なのでその補助はもともと必要で、しかも実家には祖母がいたので、その介護も私が代わりにしていたわけですが、大学卒業後に就いた仕事を辞めて郷里に帰ってからそういったことを続けて、気が付けば三十年になります。
何かを続けていると、時が経つのは早いものです。私はまだカクヨムを始めて三年といったところですが、執筆・投稿はホップ・ステップ・ジャンプと来たようで、いやいや、まだ最初の一歩の着地を終えたばかりなのかもしれません。
カクヨムが始まった頃から投稿されているベテランの先輩方も長いようで短い九年だったのではないでしょうか。その間にカクヨム外でも様々な人生の岐路や転換点を乗り越えてこられたことでしょう。苦しいこと、悲しいこと、悔しい思い、辛い思い、悲喜こもごもコモドドラゴン、多くの思い出がこの九年間だけでも詰まっていることと思います。そんな皆さんお一人お一人の人生は唯一無二の並ぶものなき素晴らしいもの。まさに天下無双です。そんなお一人お一人の経験や記憶を、ファンタジーやSF、現代ドラマなどの物語に込め、キャラクターたちに語らせ、それとなく読む人に伝えて、その人の共感を得る、そんな挑戦が自由にできるのも、この小説投稿サイト「カクヨム」の素晴らしい一面だと、わたくし与十川は思うのであります。
さて、そのような多士済々のカクヨム内で開催される「KAC2025」。毎回のお題に絡めて「書き友」の皆さんたちの傑作秀作が次々とアップされていきます。こりゃいかんと焦った与十川。仕事帰りのパスの中で必死に頭を捻りました。駄目です。歳のせいか、よい作品プロット案がなかなか出てきません。今回の第五回目の三題噺の前の前の第三回のお題「妖精」が頭の中で踊り回るだけです。前の前の妖精。前の前の。まえまえまえまえ……マイマイマイマイ……マイム♬マイム♪マイム♫マイム♩うまいどんぶぅり~♪
――失礼しました。趣味がダンス(ドアを閉めた脱衣所で一人で踊ること)なので、つい取り乱しました。ちなみに「マイムマイム」はイスラエルの開拓農民の民謡で、マイムは貴重な水の意味だそうです。大切な物を称えて、働き人らしくきびきびと踊れ、そう言われて運動会のダンス演目で踊った私と同世代の皆様も多いのではないでしょうか。水のように澄んで、柔軟で、柔らかく、ゆるやかに流れ、広く染み渡り、読者の心の渇きを満たす、そんな文章が書きたいものだと、私は郷里の大河に因んで「淀川大」と本名のままペンネームにしましたが、姓名判断に掛けたところ、あまりにも運勢が悪く、総画はなんと大大大凶。そんなにしつこく大を付けなくても……。しかも、そっくりのペンネームの方がおられ、その方が公募で中間選考を突破されるたびに私と勘違いした書き友さんからお祝いの連絡が来るという事故が発生しまして、慌てて今の「与十川」に替えたのですが、やはり川は人生と同じでサラサラと流れて美しい物ですし、そんな書き手でありたいと、残すことになりました。ところが、この川、どうも何処かでせき止められています。いつか堰が決壊して大量のアイデアが洪水のように流れてくるのかもしれませんが、その時はきっとニコニコしながら物語を語って街を徘徊する「ひろしおじいちゃん」になっている時かもしれませんので、どこかで見かけたら優しく声を掛けてください。
ともかく、頭の中でダンスばかりしている妖精どもを振り払い、私は考えました。そして、思いついたのです。第四回のお題「書き出し縛り」を使わせてもらおう。そう、朝の通勤で男子高校経由のバスをスルーして後続の女子大経由のバスに乗るつもりが、そのバスが遅延して来ないので仕方なく汗臭い方のバスに乗り込み、途中で見えてきた後続のバスに乗ろうと降車したものの、そのバスがすぐ前の信号で曲がって向こうに行ってしまったために、やむなくサラリーマンがすし詰め状態の路面電車に乗って通勤するという、あのパターンです。中高年の男性の方なら毎朝の布団の中でそれを恐れて会社を休もうかと考えたことが一度はあるはずです。
つまり、はじめだけ第四回のお題に乗り、その後は第五回のお題で作る。まてよ、だったら第一回と第二回第三回のお題も入れようか。
そうして完成したのが、この作品です。笑顔でバスを降りた私は、帰宅後すぐに書き始めました。深夜に書き終えて、その後すぐにアップした作品。手癖で書いた駄作かもしれませんが、皆さまが楽しんでくれればそれでいい。だってKACはお祭りだから。
一緒に楽しみましょう!
それでは、お読みください。
二〇二五年三月二〇日 与十川大
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