竜の意志を継ぐ者 (青空編)

雨月 零音

序章

 暗い樹海に迷ったとしても、どこか遠くから光が見えたのなら

 その光を追い続ければ出口を見つけられるだろう

 いつかきっと...


 虫の鈴の音のようなと風がカーテンを揺らす音だけが聞こえる静かな夜に少女はふと目を覚ました。夜なのに外が明るい。やせ細った小さな上半身を起こし、ベランダの方を向いた。ぼやけた視界に虹色の光が映る。そこにある筈のないものを見てしまい、忍び足で近づいた。

ベランダの赤茶色の手すりの真ん中だけ四角く切り取られて別と空間と繋げられているみたいだった。その先には下へと続く虹色の階段が続いていた。それより先に何があるかはわからない。

狭いアパートの2階から下から見える風景はいつも通りの少し雑草が生えた空き地。目の前の空間以外はいつも見ている2階建ての一軒家やアパートが建っている。

幻でも見ているのだろうか。恐る恐る足を伸ばして階段を踏んだ。しかし、まるで踏んだ感覚がなく下へ降りているうちに踏み外して滑り落ちた。

落ちる最中も景色は変わらずそのまま意識を失った。

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竜の意志を継ぐ者 (青空編) 雨月 零音 @raindrops0

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