銀河騎士隆盛期 零 宙の章 次の危機
銀河騎士隆盛期 零 宙の章 7~8
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次の危機は、ヒノ恒星系、第5惑星、ガスで覆われた、ジュピターの大きな重力を利用して、第4惑星マルスを超えて、第3惑星アスラまで達する為の、軌道修正と、必要な速度まで減速を試みた後に起こった。
減速したとはいえ、第3惑星アスラの大気圏突入前に、最後の減速制動を掛ける計画だったので、マルス近傍まで達する時の速度は、惑星間を航行する速度としては、ブルーノーズ号はまだ、相当の速度を保っていた。
第5惑星ジュピターと、第4惑星マルスの間には小惑星帯があることを、カンデン一行が知ったのは、その近傍に差し掛かる直前だった。
ブルーノーズ号は元は哨戒船で、船首には、旧式だが、0.2メルト陽電子固定式機関砲が二門と、0,75メルトの陽電子可動式砲台、一門が備えられている。
火器に使用される陽電子エネルギーは、船の機関からは独立していて、火器管制エネルギーとして別に蓄えられているので、火器を普通に使用しても問題はない。
小型から中型の隕石クラスの小惑星なら、陽電子砲で狙い撃ちすれば、対処は可能だ。
問題は文字通りの小惑星だ。破壊することは当然、無理だ。キロトン級の気化爆薬を弾頭として搭載した、ホーミングミサイルで、軌道を少しずらすことが関の山だ。これは船測に左右4基づつ、8基しか搭載してないし、一発あたりの値段が相当張る。
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これからブルーノーズ号の軌道上に遭遇する小惑星が8個以内なら良いのだが、それ以上なら、船の進路を変えなくてはならなくなる。
下手に船の進路を変えて、船の進路を調整するイオン・スラスタを多用すると、アスラの大気圏突入前に減速するための、推進イオン・スカートに回す電力がたらなくなり、ブルーノーズ号はアスラの大気圏の中で燃え尽きるか、大気圏外に弾き飛ばされることになる。
ブルーノーズ号が小惑星帯の近傍を通り過ぎる数時間の間、カンデンは操縦室から船首0.2メルト陽電子機関砲の火器管制を担当し、キンタは操縦室の半階上の狭い0.75メルト可変式陽電子砲台のアイアンサイト室に上半身だけを突っ込むようにして、砲台の火器管制を担当して、帰化爆薬ホーミングミサイルの発射管制と軌道計算を、カンデンの指示のもとでYWC2とPE57Qのコンビで行うことにして、気の抜けない数時間を過ごすことになった。
結局、ブルーノーズ号の進路を妨害するほどの小惑星の接近は三回だけで、三回ともホーミングミサイルで軌道を逸らすことに成功した。
小規模の隕石を除いて、中規模の隕石は全てキンタが0.75メルト陽電子砲で狙い撃ち、破壊した。キンタが一番、忙しい思いをすることになった。
そうして、カンデン一行は、この危険な航路をやり過ごすことに成功した。これは相当の幸運だったと言えるだろう。
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