第2話 カラダが軽くなった
宙に浮いたまま、死んでしまった僕の体をしばらくの間眺めていた。
目は閉じたまま、体はみるみる血の気がなくなり、紫のような白いような、不気味な色に変わっていく。まるで正気のない人形のようだ。
まさか、こんなに簡単に人生の終わりが来るとは夢にも思わなかった。
医師が死亡を確認し、処置室から『体』が運び出される様なので、僕も部屋から出ようと宙に浮いたままの幽体を前に傾けた。しかし、うまく進まない。微かな風にもゆらゆらと揺れて、右へ左へと流れてしまう。
どうしたものか……。
壁を蹴っても、平泳ぎやクロールの要領で手足を動かしても、思うように進めない。だんだんと焦りが募った。早く部屋から出ないと!
そう強く思った途端、
――なるほど。
どうやらこの
仕組みがわかると、妙にすっきりした気分になった。
おかげでからだが軽くなった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます