第6話 なんか覚醒したらしい


って言っても頭に思い浮かんだ見たことにない顔を必死で描き切っただけだが。

めちゃくちゃ疲れた。

だけれど、やりたい事をやって感謝されたのは嬉しかった。


あの感覚を思い出しながら、二日酔いでうずく頭を紛らわせようとタバコを吸っていた昼下がり。


気がづけばナギがいた。


相変わらず卑しい笑みを浮かべながら人の思考を盗み取る口調の安定しない女。そいつに今日も巻き込まれる。連日はやめて欲しい。


「汚ねぇ部屋ですこと!掃除がなってないよ!」


たぶんコイツの部屋も汚いんだろうな。


「私はたまにアッキーが掃除してくれるんだ〜」


この会話方法に慣れてしまった自分が情けない。


「ってか自分でやれ!それか俺の部屋片付けるの手伝え!」


「全部吹き飛ばせばいいの?」


「今のは俺が悪かった」


「くふっ、理解が早いねぇ〜」


コイツなら確実にやる。それでこいつの対処は俺には向いていない。サカキさんも来てくれたら良かったのに。ああ、


サカキさん、、、」


「頼んであげようか?」


「たのも、、申し訳なさすぎる。」


「どうせ今度来ると思うから大丈夫だと思うよ?」


「マジで説明しないよな?」


「貴方の反応が面白くって?」


心の中で、ナギに飛び切りのデコピンをした。


「あたっ!」


、、?

団地でのことを思い出す。あの時もタライをナギに落としてダメージが入った。


駿河スルガのじじい、余計なことまでしてくれたな。ふはっ!面白いよほんと!」


ナギの表情がコロコロ変わる。ランダムガチャみたい。

もう嫌だ。コイツと関わるの。


「ダメだよチーバくん!お前の命に関わるからな」


「その呼び方だけはやめてくれ!!」


小さい頃に散々揶揄われた。もはやトラウマ。


「そういえば昨日大丈夫でした?」


「最悪だった」


視線を感じるわ、あいつの呻き声がうるさいわ

散々だった。


「やっぱね〜。予想通り!」


なぜかポケットから眼鏡を取り出して、ドヤ顔し出した。

死ねばいい。


「ありていに言えばしたんだよ!目覚めたとも言うね。君はもともと感覚が優れていただろう?それが敏感になったと思えばいいんだ!」


「お前の都合に良くなったってことだな」


「はは!そうともいう!」


ぶん殴りたい笑顔をしやがって、、


「なんの得もないんだが?」


「仕事には役立つだろう?」


「お前のパシリな?日常じゃ不便すぎるんだけど、どうしてくれんだ」



「は?」


唖然とした俺に、ナギは微笑み自分の眼鏡を俺にかけた。


「これでから安心していいよ」


「昨日渡せよ、、、」


「ごめん忘れてた」


「来世は鉛筆になってくれ。酷使した上で燃やしてやるよ」


「なにそれ!たのしそう!」


皮肉が効かない上に、コイツなら今にでも成れそうだ。


「昔はできたんだけどね〜」


ほんとわからない存在だ。


「言っとくけど、私は人間になったんだから!」


ナギは満面の笑みでピースをした。

意味不明すぎる。どうせ教えてくれないんだろ。


「いつかはね〜」


「そういえば今日もなにかやらされるんだろ?」


「金になる仕事だよ?」


嫌な予感しかしない。

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