第15代帝王 レガリス2世
人名 = レガリス2世
各国語表記 = Legalis II
代数 = 第15代
在位 = 3395年6月3日 - 3413年3月6日
出生名 = ラルゲット・メイナルド
死亡日 = 3413年3月6日
没地 = ノヴァ,トラデシオン
継承者 = シトリウス7世
前職 = 世界首都裁判所第七裁判官
レガリス2世(ノ:Legalis II)は、世界秩序ノヴァの15代ノヴァ帝王(在位:3395年6月3日 - 3413年3月6日)。本名はラルゲット・メイナルド。
== 生涯 ==
=== 幼少期と家族背景 ===
レガリス2世ことラルゲット・メイナルドは、3340年4月4日にオクタ属州ムーンミルク公領で生まれた。彼の父は裁判官、母は調停官であり、司法家系のもとで育った。当時のムーンミルクはアルク族と西ジャヤ人の間で対立が続く不安定な地域であり、西ジャヤ人であった彼の家族は抑圧を受ける立場にあった。しかし、父親は幼いラルゲットが裁判官になりたいと願った際、「争いの絶えない場所で裁判官になっても過労死するだけだ」と否定的であった。3349年4月24日、ラルゲットの父はアルク族に暗殺された。この時、彼は「これで裁判官になれる!」と喜んだという。母はこれを目の当たりにし、彼の価値観に戦慄した。
=== 初期の司法キャリア ===
3361年、16歳でムーンミルク公領の司法試験に合格し、5ヵ年計画を掲げてアルク人と西ジャヤ人の対立を法的に解決しようとした。彼は徹底的に公平な判決を下すことで両者の司法上の格差を解消し、3366年にはオクタ属州裁判官に就任した。
=== 世界首都裁判所時代 ===
3362年、裁判官と同時進行で行っていた大学で司法課程を修了したラルゲットは、トラデシオンの世界首都裁判所の裁判官に就任。当時の裁判所には私情にまみれた人が多かったが、ラルゲットは惑わされることなく、公正な裁判で評価された(この態度は、後の「法は人の上に人を作らず、人の下に人を作らず」に活かされていると考えられている。)。しかし、1年半ほどでホームシックになり辞職。ムーンミルクへと戻り、故郷の裁判官として再出発した。
===オクタ属州裁判官時代===
ムーンミルクに戻ってから少しは同地の地方裁判官として(比較的)穏やかな生活を送った。3366年、彼は5ヵ年計画や世界首都裁判官の功績が認められ、オクタ属州の裁判官に選出された。ラルゲットは「法は人の上に人を作らず、人の下に人を作らず」をモットーに万人を同じように裁き続け、この様は「公正裁判官」と呼ばれた。また、どんなに西で起きようとも、どんなに東で起きようとも、属州内を駆け回り、裁判を行い、これもまた「折り畳み式裁判官」と呼ばれた。
===最高裁判官への即位と名声の拡大===
3382年、42歳で最高裁判官に就任し、世界秩序ノヴァの司法を主導することとなった。しかし、業務過多により効率的な裁判処理方法を模索することとなった。3390年には帝王メルクリウス3世から調停杖(ちょうていじょうを授与され、空飛ぶ世界宮殿「フライング・パレス」ヴォイジャーを裁判所として活用するようになった。彼は「シトリウス3世の真の後継者」とも評された。
=== 帝王即位と試練 ===
3395年5月、メルクリウス3世の意向により第14回帝王科挙に合格し、レガリス2世として即位した。しかし、彼の即位はメルクリウス3世による操作で運命づけられたものでもあったため、「縁故採用帝王」とも批判された(これは市民から天才を選抜するという本来の意義を欠いた、史上初めての帝王科挙となった。)。
帝王即位後は、自ら調停者であることを自認し、ホノリウス2世の脱ポムソン主義以降、対立が先鋭化していたノヴァ貴族と行政府の間を取り持ち、世界の安定化に尽力した。しかし、そのような努力にもかかわらず対立は一向に解決しなかったほか、世界帝王として君臨するのではなく、行政府やノヴァ貴族の言い分を聞き、彼らに寄り添おうとする姿勢は、両者にレガリス2世に対する優越意識を与えることとなった。こうして時と共に宮廷内でのレガリス2世の発言力は低下し、ノヴァ貴族や行政府の重役が彼に取る態度は尊大なものとなった。このような状態の中でもレガリス2世は自らの良心を信じ、二派閥間の対立の解消に心血を注いでいたが、3412年の暮れには、そうした自身の態度に疑問を抱くようになった。
「なぜ世界を安定させるべく魂を削っている私ばかりがこれほどまでに疲弊し、好き勝手に世界の安定を揺るがしている役人や貴族はのうのうとしていられるのだろうか?世界は良識派にあまりにも残酷だ!私が自らの魂を削ってまで良識派にくみすることの利点とはいったい何だろう?」
ーレガリス2世、日記
=== 茶会の惨劇 ===
3413年3月6日、世界宮殿の庭園にて帝王凱旋を記念する茶会が催された。茶会に先立ってレガリス2世は、「今日はノヴァの誕生を祝うめでたい場であるから、くれぐれも争いごとは慎むように」と参加した役人と貴族に対し忠告したが、いつもそうであったように、彼らはレガリス2世の言葉を無視し、言い争いを始めた。レガリス2世ははじめ呆然としたようにその様子を眺めていたが、突如として「調停なんてクソくらえだ!」と叫ぶと、手にした調停杖で言い争いをしている人々を次々と撲殺していった。怒り狂うレガリス2世は、今までに押し殺してきたすべてのストレスを一様に解き放ったようであり、殴られた者の中には頭部が変形し、形をとどめない者までいた。茶会の会場は騒然となり、近衛大隊が出動する事態となった。混乱による情報伝達のミスと、レガリス2世のあまりの変わりようから、近衛隊長と兵士らはレガリス2世を外部から乱入した暴徒であると誤解し、レガリス2世を取り囲むと警棒で袋叩きにしようと試みた。
明朝、近衛隊長と直接レガリス2世を殴った近衛兵15名は反逆罪により全員処刑された。
=== 逃走と最期の瞬間 ===
レガリス2世は茶会での撲殺後、世界宮殿を脱走し、凱旋門方面へ走った。この際、ほぼ全裸体であったとの記録もある。彼はトラデシオンを流れる川に飛び込み、川下りを試みた。しかし、3月の亜寒帯の川は極寒であり、河岸に戻った直後、近衛部隊に拘束されかけ、抵抗したため撲殺された。彼の最後の言葉には諸説あり、
*「O homines, vesanae mentes vestrae! Certamina vestra turpia sunt!(おお、人々よ、お前たちの心は狂気に満ちている!お前たちの争いは醜悪だ!)」
*「Jika kau mau berkelahi, jangan libatkan aku.(争うなら、私を巻き込むな。)」
などが伝えられている。
== 評価 ==
=== ホノリウス12世による評価 ===
ノヴァ帝王の研究で知られ、自身も68代帝王であったホノリウス12世は、著書『帝王列伝』で以下のように評している。
「ホノリウス2世以降、パクス・ノヴァ―ナは非常に不安定な状態にあった。にもかかわらずそれが持続したのは、レガリス2世に代表される良識派の人々の涙ぐましい努力があったからである。パクス・ノヴァ―ナは愚人によってではなく、耐え切れなくなった良識派の精神の崩壊によってついえたのだ。」
ーホノリウス12世、『帝王列伝』
=== ココナツ・コイコイ2世による評価 ===
リトラ公国の哲学者であるココナツ・コイコイ2世は、自著『調停者の崩壊』でレガリス2世の悲劇から学ぶことのできる教訓を、一般人の自重心の重要性であるとした。どのようなコミュニティにも、人々の人間関係の改善に心血を注ぐ調停者と呼ばれる人間が存在するものであり、多くの場合そうした人々は社会的義務感よりも自身の性格や思想、価値観からそのような行動を行う。調停者はコミュニティの円滑な運用に必要不可欠であるが、えてしてこうした人々は他者から見下されがちである。そのような精神の背景には、いざとなったら調停者に頼ればいいとか、調停者である人間が我々のように身勝手な行動に走ることは決してないだろうという人々の慢心があるのだ。
しかし、調停者はストレスを抱えないわけでは決してなく、ストレスを抱えられる量が常人よりもわずかに多いというだけなのである。そのため調停者であってもストレスのリミットは存在し、一定以上のストレスがたまると、一般人をはるかに超える規模の精神的爆発が発生するのである。茶会の惨劇はこの最もよく知られた実例であり、我々は現在も世界各地で彼らの所属するコミュニティのために注力する調停者たちに敬意と思いやりをもって接していかなければならないのである。
== 脚注 ==
=== 注釈 ===
==関連項目==
メルクリウス3世 ← 3395 - 3413 → シトリウス7世
代数 人名 即位年 退位年 在位年間
1 ノヴァ大帝 3203 3225 22
2 シトリウス1世 3225 3239 14
3 メルクリウス1世 3239 3243 4
4 シトリウス2世 3243 3256 13
5 シトリウス3世 3256 3270 14
6 ホノリウス1世 3270 3281 11
7 レガリス1世 3281 3283 2
8 シトリウス4世 3283 3298 15
9 メルクリウス2世 3298 3300 2
10 シトリウス5世 3300 3319 19
11 ホノリウス2世 3319 3340 21
12 シトリウス6世 3340 3363 23
13 ホノリウス3世 3363 3382 19
14 メルクリウス3世 3382 3395 13
15 レガリス2世 3395 3413 18
16 シトリウス7世 3413 3419 6
17 シトリウス8世 3419 3424 5
18 シトリウス9世 3424 3437 13
19 シトリウス10世 3437 3440 3
20 マルス1世 3440 3446 6
21 ホノリウス4世 3446 3453 7
22 シトリウス11世 3453 3462 9
23 メルクリウス4世 3462 3470 8
24 メロス 3470 3477 7
25 アポロ1世 3477 3478 1
26 メディクス 3478 3484 6
27 シトリウス12世 3484 3484 0
28 ホノリウス5世 3484 3486 2
29 シトリウス13世 3486 3507 21
30 メルクリウス5世 3507 3508 1
31 シリウス 3508 3513 5
32 エデュカトル 3513 3514 1
33 バルカン1世 3514 3539 25
34 シトリウス14世 3539 3542 3
35 ホノリウス6世 3542 3563 21
36 シトリウス15世 3563 3565 2
37 バッカス 3565 3565 0
38 オリンピア 3565 3577 12
39 バルカン2世 3577 3580 3
40 シトリウス16世 3580 3585 5
41 マルス2世 3585 3594 9
42 ホノリウス7世 3594 3627 33
43 アグリカ1世 3627 3657 30
44 アグリカ2世 3657 3669 12
45 シトリウス17世 3669 3674 5
46 ホノリウス8世 3674 3688 14
47 ハルバ1世 3688 3700 12
48 レガリス3世 3700 3720 20
49 メルクリウス6世 3720 3731 11
50 メルクリウス7世 3731 3736 5
51 レガリス4世 3736 3750 14
52 マルクス 3750 3763 13
53 マルス3世 3763 3781 18
54 ホノリウス9世 3781 3784 3
55 ペルセウス 3784 3804 20
56 バルカン3世 3804 3812 8
57 ヘラクレス 3812 3843 31
58 オリハルコン 3843 3870 27
59 シトリウス18世 3870 3887 17
60 ホノリウス10世 3887 3919 32
61 ハルバ2世 3919 3926 7
62 クロノス 3926 3947 21
63 シトリウス19世 3947 3977 30
64 ヘルメス 3977 4004 27
65 ホノリウス11世 4004 4015 11
66 アポロ2世 4015 4046 31
67 シトリウス20世 4046 4069 23
68 ホノリウス12世 4069 4105 36
69 メルクリウス8世 4105 4113 8
70 ハルバ3世 4113 4134 21
71 ハルバ4世 4134 4170 36
72 ホノリウス13世 4170 4202 32
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