ケンカ
「もう優真なんて知らない!!」
「は? 紫亜が悪いんでしょ。私は謝らないわよ」
そう言い放って腕組んで、仏頂面の優真とぷんすか怒る私。
なんでこうなったかと言うと、昨日スマホの充電をして寝ていたと思っていたら、コンセントが抜けていたみたいで出来ていなかった。
そういう時に少し寝坊をしてしまい、スマホが充電出来ていると思い込み、そのまま登校。
見事、充電出来ていなかった私はスマホを見て驚いた。バッテリーが無く、電源が落ちていた。モバイルバッテリーもそういう日に限って家に忘れているし。
今日はもうしょうがないかと開き直り、諦めてスマホを鞄にしまいそのまま過ごし、家に帰る頃にはそんな事をすっかり忘れていた。
そんな時に先に私の家に来ていた優真に連絡がつかなかったと責められて、事情を話すも信じて貰えずに冒頭の会話。
「ふ〜んだ!! 本当だもん!! ウソついてないもん!!」
ぷんすかぷんすか怒って、そのまま優真と睨み合い、優真が鞄を持って立ち上がる。
「本当は私の連絡が面倒くさくて無視してたんじゃないの」
「そんな訳ないでしょ!!」
シャーと猫が威嚇する時にポーズをとりながら、優真に怒る。
「はぁ……もう帰る」
「帰ってどうぞ!!」
今日はこっちも腹が立っているので、引き止めはしない。
ふーんだ!! 今日は紫亜ちゃん特製餃子だけど、優真と食べないもんね!! 優真のばーか!!
「……だけど、謝ってくれたら、直ぐに許してあげる」
ぷんすかしながら、夕飯の準備をして、昨日の夜に作って置いた餃子の餡を皮に包む。
「本当は一緒に食べたかったのに〜。優真のばか〜」
なんてボヤきながら、私はしょうもない事で喧嘩したとため息をつくのだった。
「……紫亜ちゃん」
「なぁに、れーなちゃん」
ちよ丸くんと久しぶりに遊びながら、答える私。そう。ここはれーなちゃんの家。
猫じゃらしをゆらゆらすると面白いくらいちよ丸くんが遊んでくれる。可愛い。
「私の幼馴染がとんでもないジメジメキノコを振り撒きながら、夕方、暇つぶしに走ってから毎日、私の家に遊びに来るんです」
「それは面倒臭い幼馴染だねぇ〜」
私の返答にれーなちゃんは深いため息。
あれから、一週間経ってしまった。私としてはもう怒ってはないのだけれど、やっぱり優真が悪いので謝ってくれたらすんなり許すつもりだ。
「まぁ、私も全面的に優真ちゃんが悪いのは分かっています。事情は聞いていたので」
「でしょ。だから、優真から謝らないと許してあげない!!」
優真ってば、一方的に自分が悪くないって意地張って来る時あるから、それがムカつく。
けど、今のこの状態が一番嫌だ。
「……なんて言ってるけど、本当は早くこんな状態辞めたいんだけどねぇ〜」
正直、一週間も口をきいてないのは私も精神的に来る。前はテスト期間だったから仕方ないって思ってたけど、今回は喧嘩だし、ズルズル喋んなくなるのも辛い。
「うーん。私としてはずっとジメジメキノコ生やしてる優真ちゃんが私の家に来るのはなんか面倒臭いので、二人には早く仲良くして欲しいのですが……」
「なんかごめんね。れーなちゃん」
「いえ、紫亜ちゃんは悪くないんです。本当に悪いのは優真ちゃんですから。……今日はそういえば、来てないですね。昨日は来てたのに」
ふと、自分で言っていて思い出したと首を捻るれーなちゃん。
「私の靴があるのを見て回れ右した可能性」
「あー。今、意地張ってるので有り得ますね。……はぁ、早く素直に謝りなさいと言ってるのですが」
ため息をつくれーなちゃんにリリーちゃんが身体をスリスリしている。れーなちゃん、本当にお疲れ様です。
「うーん。やっぱり私から、優真に会って仲直りするしかないか〜」
「……いいんですか?」
「いいんだよ〜。この状況で優真がれーなちゃんに迷惑かけまくってるし、私もいい加減、優真と仲良くしたいし〜」
このままだと、優真は見た目よりも豆腐ぐらい繊細なメンタルしてる癖にプライドだけは一丁前だから、来ない可能性もある。
「明日、学校休みだし、優真に会えないか連絡してみるね」
「情けない幼馴染ですが、そうしてあげてください」
れーなちゃんは苦笑気味にそう言うのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます