テスト 2
「シール♪ シール♪」
スーパーで割引きシールの貼られた唐揚げを見つけ、今日の晩御飯の主役はこれにしようとカゴに入れる。
後、カットキャベツとデザートにこれまた割引きシールが貼られた賞味期限が今日のプリン。
テスト期間中は勉強する時間を確保したいから、料理も手を抜きまくる。
……正直、前のテストちょっとやばかったからね。それに今回は忘れてたのもあって予習復習も充分じゃないし。
そして、家に帰ってどんぶりにご飯その上にカットキャベツ、唐揚げを乗せて、マヨネーズをかけて唐揚げ丼が出来上がる。そして付け合わせにインスタントの味噌汁。
一口、味噌汁から飲むと一息つく。それから、唐揚げ丼へ。
「こういうのでいいんだよ〜」
うんうん。自分で作った唐揚げも美味しいけど、惣菜屋さんの唐揚げも美味しいなぁ〜。私の作る唐揚げと味違うし。
ご飯も食べ終わり、やらなきゃいけない家事やお風呂を済ませ、勉強をする。
「……きょーかちゃんもきょーかちゃんでエルちゃんとは別に教えるの上手だなぁ〜。今日解いた問題、なんかスラスラ分かる」
でも、今日呟いてたれーなちゃんに勝たなきゃってもしかして、れーなちゃんが一位になって以来、れーなちゃんは一位から順位下がってないからそれのせいかもしれない。
きょーかちゃんは首席入学して、しばらく一位キープしてたのに、れーなちゃんが一位取ってから、きょーかちゃんはずっと二位だし。
私は一回、エルちゃんのお陰で取れた五十位が最高順位でその後からは下がり調子だ。全然ダメダメである。もっと勉強しないと赤点取りそうで本当にやばい。
「よーし! もうちょい頑張ったら寝よ〜」
「あ、きょーかちゃん〜」
「……北見さん」
最近きょーかちゃんと放課後、一緒に勉強している。というか教室できょーかちゃんを見付けて、教科書を持って近付くと「何処が分からないの?」と聞いてくれるようになった。優しい。
それから黙々と勉強をすると少し休憩。
「ねぇ〜。きょーかちゃん」
「何」
お茶を飲んでから、ずっと気になっていた事を聞いてみようと話し掛ける。
「なんで、れーなちゃんに勝ちたいの?」
「そんなの、決まってるでしょ。一番という数字が好きなのよ。だからキープしようと勉強するの。……それなのに、三位だったのに、急に一位になってその上ずっと私は南 玲奈に一点差で二位。しかも三位の西園さんに関しては五点差、焦るわよ」
そういや、丁度その頃の優真ってれーなちゃんに勉強教えて貰ってたって文化祭前のテストの時に言ってたかも。今回もそうなのかな。文化祭前の時もお小遣いの為にれーなちゃんの所で勉強してくるって言ってたし。
今回は普通に言い忘れてるんだろうな。私も聞かなかったし。
……だとしたら、れーなちゃん大変だろうなぁ。優真、ちょっと我儘だし、どうせれーなちゃんの家でやろうとするから、ちよ丸くんやリリーちゃん達が大暴れするだろうし。
まあ、優真が元好きな人の所で勉強するって事に嫉妬しないかと言われれば、ちょびっとする。
でも、れーなちゃんが頭良いから勉強を教えて貰うってのは分かる。私も私よりも頭の良いエルちゃんに「一緒に勉強しよ〜」って、エルちゃんの厚意に甘えてしまうし。
「その頃の優真って、れーなちゃんに勉強教えて貰ってたらしいから、それでかな〜」
私の言葉を聞いて、きょーかちゃんがガタッと立ち上がった。
「南 玲奈に勉強を教えて貰っ……羨ま……いや、なんでもない。勉強を再開しましょう」
きょーかちゃんは動揺したのは気のせいだと、言わんばかりに艶のある黒髪ロングの髪を払い、席につく。そして、眼鏡をクイッとさせて落ち着きを取り戻していた。
……あれ、てっきりきょーかちゃんはれーなちゃんの事がそんなに好きじゃないのかと思ってた。
あれだけ勝ちたいって言ってたし。
「れーなちゃんの事、嫌いじゃないの?」
「ノーコメントよ。でも、……私は向上心がある人間は好きよ」
「それって好きなんじゃ……」
「さ、勉強よ。北見さん」
「スルーされたぁ〜」
なるほど。嫌いではないんだ〜。良かった。れーなちゃん優しい人だし、嫌われてたら、気にするかも〜とは思ってたし。
それから、きょーかちゃんと一緒に勉強して、下校時間。
「今日もありがと〜」
「……別に。あなたに教えれば、私の勉強になるから。……それに南 玲奈も同じ様な事をしているのなら、私もやらない手は無いし」
最後らへんはブツブツ言ってて聞き取れなかったが、きょーかちゃんが良いなら良いか。
さっさと机の上を片付けるきょーかちゃん。そしてそのまま立ち上がって、帰って行った。
「さ、私も帰ろ〜」
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