日も明けない、朝と呼ぶには暗すぎる時間のことにございます。ヨルノという青年は、9回も同じ夢を見て、夢と現の境が曖昧になり、自分が現実を生きているのか確信を持てずにおりました。そこに、『月の精霊』を名乗る妖艶な女性が、『迎えに』きたのでございます。青年ヨルノを現世に止まらせるは、恋人ヒノカの存在……2000文字程のコンパクトなサイズに収まった、しかし確かに質量の感ずる「さようなら」にまつわる物語にございます。ご一読を。