そして、彼の行く末は……
浅霧紲
第1話
外では季節外れの雪が降る中、境界も曖昧な真っ白な部屋に調子外れの歌が響く。
「ゆきやこんこ あられやこんこ」
幼い子供のように無邪気に、それでいながら滲み出る欲望の欠片。
男は体を揺らし、鈍色に輝く光を指揮棒にして上下に振ってみせる。
「や、やめ……」
「ふっては ふっては ずんずんつもる」
力強く振り下ろしてアクセント。しかし、奏者の音は小さく微かに消えていく。
「ダメじゃないか。きちんと指揮者に従ってくれないと」
光を失い虚空を見つめる瞳に、男は呆れと失望の色を浮かべた。
返事の一つもしない無礼な奏者から視線を逸らし、男は窓の外を見つめた。
雪はいつの間にやら雨に変わり、男の失望は更に深いものへと変わっていった。
「何故。楽しい時間はいつもあっという間に終わってしまうのか」
白いファーがアクセントになった赤い帽子に指をかけて、深紅に染まった真っ白だったはずのコートと共に脱ぎ捨てる。
「次はどの曲を奏でてもらおう?」
振り返った男の視線の先には、薄ら水面を揺らす扉の隙間から覗く少年の瞳。
「あわてんぼうの さんたくろーす」
天使の紡ぎ出したフレーズに、男は片頬を上げてシニカルな笑みを浮かべた。
「素晴らしい! 次は、君の番だ」
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