第5話 俺の新しい部屋 / わたくしの秘密がこもった地下室
「ここが
結局、俺は
そうして連れてこられたのは町のはずれにある白い一軒家だった。
『絵を描く用の別荘ですので小さいですけども』とか言ってたけどとんでもない。
2階建てで地下もあるって普通に豪華なんだよなぁ。
「わたくしは用事がありますので、夜まではゆっくりしてくださいまし。今月分のお金は机の上にありますので昼は好きなものを食べてください」
「おうよ。それじゃぁ今日はゆっくりさせてもらうわ」
俺は机の上の封筒を開け、中身を確認しながらベッドにダイブする。
「さて……これからの事を考えないといけないな」
まず、この生活は絶対に維持させる。
そもそも俺って面倒な事は嫌いだし、炎上してから人生詰んでたぐらいだし。
「ま、ちょっと
あって数分話しただけではあるが、俺には分かる。
機嫌損ねたら何しだすか分からないメンヘラ気質のお嬢様だ。
でもさぁ……金もくれて住むところもくれておまけに美人だぜ??
これもう同棲一択っしょ。
「ま、それに誰かに好かれるのは嫌いじゃねぇしな」
こうなったら腹くくってルールを順守しよう。
何、難しい話じゃない。
『
碌でもない事を思い出しちまった。
嫌なもんだねぇ、脳って奴は不都合な記憶しか覚えてくれない。
ま、もうあの時に知り合いなんてほとんど居なくなったんだ。
「
そう考えてポジティブにいこう。
◇
『
あらかじめ部屋に仕込んでいた盗聴器から
あぁ、なんて頼もしい殿方でしょう。
わたくしの話を聞いて怖がる事もせず、むしろ楽勝と声を上げてくれている。
やっぱりあなたは他の人とは違う。
わたくしのアートを完成させてくれる人間であり、わたくしの脳を焼いてくれた唯一の人。
「いつかこの地下室も、
この別荘を作った時、地下室を作るのは決定事項だった。
今のわたくしを作ってくれた物を補完するための場所が欲しかった。
こじんまりとした地下室には大きなモニターが一つ。
そこには
そしてこの部屋にはもう一つ、大切な宝物がある。
大きな額縁に飾られた一枚の絵。
青いバラを描いたその絵の中心には、コーヒーで汚されたシミがデカデカとはびこっている。
「やっと、貴方の完成形を作ることが出来ますわ……それまで此処でわたくしを見守ってくださいね」
その汚れたバラの絵にそっと手を添えながら、わたくしは今後の展開について独り言をつぶやいていた。
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