黒髪ショートカット王子様系幼馴染のオレへの執着が怖い!

栗井無牌太郎

黒髪ショートカット王子様系幼馴染のオレへの執着が怖い!

第1話 王子様のパンツは青縞パンツ

 日差しは程よく風は涼しく、さわやかな早朝ではあるんだが、なんせ月曜日だ。


 どうあがいても気分が上がるわけもないんだが、クラスの女子達のテンションは高い。


 曜日問わずほぼ毎日だ。


 きゃあきゃあと女子達の黄色い歓声が上がり、そいつが登校してきたことをオレに知らせてきた。


「おはよう、お姫様。

 少し髪の毛を切ったのかい。前の髪型も素敵だったけど、今日の髪型はとてもチャーミングだ」


 そんなふうにクラスのモブ女子1に声をかけながら、モブ女子1の髪にそっと触れる。


 相変わらず、イケメンなやつだ。


「おっと、月曜からおつかれ!

 ん? チークを変えたのかい。目元のグラデも盛り盛りだね!」


 言葉遣いを使い分けながら、今度はギャル女子1(白)に明るく声をかける。


 男子は問答無用で道を譲り、女子は挨拶を交わすと嬉しそうに道を開ける。教室内の短い距離なのに、王侯貴族の行進かと言わんばかりだ。


 スラリと伸びた長身にスマートな佇まい。やたらと高い腰の位置。身長は大してオレと変わらないくせに、足は若干長い。


 AIにどんなプロンプトを食わせたら、こんな王子様系の美形が発生するのやら。


 休日に一緒に歩いているだけで女が向こうから寄ってくるのを何度も見ている。何なら雑誌の特集にすら載りかねないほどモテそうな端正な顔立ちをしているのだ。


 この学園にはまだ入学したばかりだというのに、もう校内には知れ渡っている。


 一年に白馬の王子様がいるぞ!


 そんな感じで風の如く噂が広がり、あっという間に学園中の話題になった。


 入学式に生徒代表で挨拶したからね。しょうがないね。


 威風堂々と原稿を読み上げ、アドリブまで利かせ、最後に全校生徒に笑いかける超美形。


 この学園は生徒数がやたら多いマンモス校なんだが、その時見てる生徒数だけでも普通の学園じゃありえない人数だったのに、並大抵の胆力ではない。


 並のイケメンでは逆に不興を買ってしまうかもしれないようなムーブも、絵になりすぎていて文句をいう奴どころか、全校生徒が見惚れていたのだ。


 最近になってようやく落ち着いたようだが、入学当初は連日他のクラスやら上級生やらが見物(主に女子)に来ていたものだ。


「やぁ、おはよう。今日もよい天気だね」


 寝不足に日直も重なり、オレはぼんやりした頭でもそもそと朝飯代わりのブロック型携帯食を食べていると、オレの前までソイツはやってきた。


「月曜日なんて憂鬱なものだけど、朝からキミに出会えたことで、そんな鬱蒼とした気分なんて吹き飛んでしまったよ!

 ふふ、嬉しいね。

 ただ登校しただけで、キミを見ることができるんだ。

 学園がソシャゲだとしたら、破格のログインボーナスだね」


「⋯⋯石もチケットもでないけどな」


 大げさなヤツだ。昨日も一緒に遊びに行っただろうが。


「じゃあ、代わりにこれを貰っておくよ」


 オレの手から携帯食を取り上げて美味そうに口に運ぶ。


 食べかけなんだが…


 そんな間もクラスのモブ女子連中に挨拶を返したり、軽く手を振ったりと、仕草の一つ一つがいちいち絵になっている。鼻につくが、似合い過ぎていて文句も言う気にならない。


 ついついつっけんどんな受け応えをしてしまうが、コイツは不貞腐れたオレを見て、ますますさわやかな笑顔を深くするのだ。


 机に置いてあった飲みかけの牛乳まで取られてしまった。


「どうしたんだい?

 1時限目は君の好きな数学だろう。

 …あぁ、今日はキミが日直だったね。

 早起きが苦手なキミのことだ、今朝はさぞかし辛かったことだろうね」


 音もなく椅子を引いてオレの前の席に座る。


 なんだこの洗練された所作は!?


 育ちが良いのは知っているが、立ち居振る舞い礼儀作法のコーチングでも受けているのか?

 なにげない振り向く仕草すらかっこいい。


 そうして、机の前に投げ出していたオレの手に指先でそっと触れてきた。


「…っ!」


 単なるスキンシップではあるが、ここまで美形なヤツにされるともやもやする。


 今もニッコリと笑いかけてくるし、悪い気持ちにはならないが、周りの女子どもからの視線がうっとうしい。


「さあ、授業が始まるよ。

 課題はやってきたかい?

 キミのことだからぬかりなないと思うけど、今日はこの列が当てられる番だ」


「…昨日お前と一緒にやっただろうが」


「うん、そうだね」


 目を細めて頷いた。


 ますます女子どもからの敵意が強くなった気がする。


 そのタイミングで予鈴が鳴った。


 始業までの短い時間を思い思いに過ごしていたクラスの連中も席につき始める。


「さあ、1時限目の授業だ。

 スマホはマナーモードにしたかい?

 授業中に鳴ったりしたら、面倒だよ」


「そうな。

 理系らしく融通きかんしな、あの先生。

 英語担当よりマシだが…」


 そんなことを言いながら、オレも机から教科書とノートを取り出して授業の準備をする。前の席のコイツも勉強道具を取り出して、ゴソゴソ何やらやっているようだ。


 スマホの操作?


 コイツ自分で言っておいて、授業中にイジってると取り上げられて反省文だぞ。


 まぁ、コイツがそんなヘマをやらかすとは思えないが…


 と、ガラリと入口のドアを開けて一時限目の数学教師が教室に入ってきた。


 一瞬、教室内の全ての生徒の視線が入口に集まる。


 その時だ。


 その刹那の時間。


 面倒臭い教師の入室の瞬間、クラスメートの視線が一箇所に集中する間隙をついて!


「…っ!?」


 後ろの席のオレにだけ見えるように、スカートを捲り上げた。


 ふわりと、スカートの端が宙を泳ぐ。


 まるい、そして、エロい…


 曲線美を究極的に追求した真っ白い尻だ。


 薄ブルーのストライプが両目に飛び込んでくる。


 尻肉の食い込みが目に焼き付いて離れない。


 そんなのは清浄の間の出来事で、集中力を極限まで発揮してしまったが故に、スカートの端が止まって見えた。


 しかし、現実には一秒にも満たない時間だ。


 当然もうスカートは元に戻っていた。


 ポケットの中のスマホが振動した。目の前のコイツが視線だけを向けて、スマホを見ろと促す。


 さっき面倒なことになるって言ってた本人だろうに。


 確認しないわけにもいかず、机の陰に上手いこと隠しながら、画面を確認すると新着メッセージが一件。


 当然、前のコイツからだ。



『元気は出たかい?

 今のはボクからキミへのログインボーナスだよ。

 今日の下着はキミの好みにあっていたかな?』



 そんなメッセージだった。


 あぁ、オマエの言う通り、オレのどストライクだよ…


 背後からでは見えないが、制服を内側から押し上げはち切れんばかりに盛り上げるたわわに実った胸、肋骨が何本か足りないんじゃないかというくらい細く引き締まったウエスト。


 そう、目の前の席に座る高身長超絶激モテイケメンは女なのだ。


 オレの幼馴染で、あろうことか家も隣。親友のような距離感で一緒に遊びにも行くが、コイツは間違いなく女である。


 しかも尻は、まるくてエロい…





近況ノートに挿絵とかあります。

コミック風

https://kakuyomu.jp/users/kakunosuke1126/news/822139841082347584

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