第16話 後処理
決闘が終わったあと、リュエルはダスカーの部屋に呼び出された。
中に入るとダスカーとリュートがいた。
「………来たか」
「あれ、ウィルとゼクトはいないのか?」
てっきり決闘の後処理で呼ばれたと思っていたのだが。
「いや、もう来るはずだが………」
そうダスカーが言った時、扉が開いた。
「くそ!!」
そう言い、ウィルとゼクトが入ってきた。そして中にいるリュエルを見てウィルは
「ガキが………!!」
と言い飛びかかろうとして………なんとか堪えた。流石に堪えるだけの理性はあるようだ。
「………全員揃ったか。決闘はリュエルの勝ちということになるが………リュエル要求はなんだ?」
そういえば忘れていたが勝ったので要求ができる。それならまずはこの決闘で受けた傷を治すための整備代。あとは……このシンジケートから立ち去ってもらうことくらいか。
「なら、まずは今回の決闘で受けた損傷を修理できるくらいのクレジットを。あとはこのシンジケートから去ってくれ、会いたくないからな」
そう言って、ウィルの方を見る。
「ちっ!」
するとウィルはクレジットが入ったカードを投げてくる。どうやら全部くれるようだ。
そして踵を返して部屋を去っていく、帰り際に睨んできたが。
ゼクトの方はちょっとすまなそうな顔をして出て行った。
「………さて、そしたら本題だ」
決闘の後処理だけでよばれんじゃなかったのか?とリュエルは少しだけ驚く。
「本題?」
「ランクアップの件についてだ。忘れてたか?」
「………ああ」
完全に忘れていた。そういえば元はと言えばこの一連の出来事はランクアップのための依頼が始まりだった。
「まあ、いい。まず、先ほどの決闘からお前の実力の見当はついた。だいたいCランクの中間くらいはあるだろう」
Cランクの中間……つまり一流の実力があるということ。
「Cランク……」
そういえば前にリュートさんからもそのくらいの実力だろうと言われていたことを思い出した。
「そうだ、だが。Cランクには上げられない。流石に実績が足りないのでな」
まあ、そうだろう。いくら傭兵が実力至上主義だとはいえ実績がなくては意味がない。
「そこで、まずはDランクにランクアップし、そこからいくつかの依頼を受けCランクにランクアップしてもらう。異論はないか?」
「ああ」
正直、早くCランクに上がりたい気持ちはあるがこれでも十分だろう。
「そしたら話は終わりだ」
そう、ダスカーから言われる。頷き部屋を出ようとするとリュートさんに呼び止まれた。
「あ、リュエルちゃん。格納庫のところで待っててくれないか?話がある」
話?なんの話だろうか。まあ、急いでいるわけではないので承諾する。
そして、部屋を出た。
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数分後、格納庫にあるエリスの前でリュエルはリュートを待っていた。
エリスは先程の決闘で盾は半壊、機体自体には目立った傷はないが一度整備は必要だろう、最もウィルからもらった分のクレジットで払えるが。
そんなことを考えているとこちらに向かってくるリュートの姿が見えた。
「リュエルちゃん、待たせたな」
「いえ、大丈夫です。………ところで話とは?」
「ああ、俺からの選別というか贈り物というか、とにかくリュエルちゃんに渡したい物がある。着いてきてくれ」
渡したい物?特に心当たりはないものの、リュートに着いていく。
するとと武器庫のような所へ連れて行かれた。そして一つの武器の前に案内された。
「この、エスフィアスM238レール砲をリュエルちゃんにあげようと思ってね」
「………え!?」
「こいつは腰部につけるレール砲でね。少し古いものだけど性能は保証する」
腰部につけるレール砲、これがあれば戦闘の幅が広がるのは間違いない。ただ………
「でも……これリュートさんのものですよね?いいんですか?」
「ん?ああ、大丈夫だよ。………もう俺には必要のない武器だしね」
「?」
理由はわからないがありがたく貰おうと思う。
「ありがとうございます」
「これはDランクに上がったご褒美とでも思っておいてよ」
「はい。そしたらエリスを整備する時にこれもつけてもらいます。
このレール砲は整備をする際につけてもらおう。それが一番いいと思う。
「ああ、それについてなんだけど……整備代は俺が出すよ」
「え………いや……それは流石に迷惑をかけすぎでは………」
流石にそれは迷惑をかけすぎてしまう。それにウィルから戦利品として整備代はもらっている以上整備代の分はプラマイゼロだから問題はない。
「うーん、そうだな。これは決闘に勝ったお祝いみたいな物だと思ってくれ」
「いやでも……」
すでにウィルから整備代をもらっている………と言おうとすると「しー」と指を当てられる。
「人の善意は素直に受け取った方がいい、それに………クレジットはなるべく取っといて損はないからな」
それ言われたらどうしようもないので承諾する。
「じゃあお願いします」
と言う。
「よし、なら1日ぐらい待っていてくれ………と思ったがそういえばリュエルちゃん帰る手段ない?」
「!………はい」
いまの今まで忘れていた。エリスを整備に出したら隠れ家に帰る手段がない。
「あ……」
流石に歩いて帰るのは難しいので泊まれる場所などがあればいいが………
「………まあ、ここには宿泊できる場所もあるし……あ、クレジットは俺が………」
「いえ、それは私が出します!!」
そう、喰いつくように言った。
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〜後書き〜
さて、一応ここでシンジケート編も一区切り。
一度ほのぼのとした時間が………………流れるわけなどないです。はい。ということです次話なのですが整備が終わったエリスを受け取ったリュエルが新しい武器の試しということです依頼を受けます。
さて少し新しい武器、レール砲というのが登場しましたがこれについて説明していきます。まずこの世界におけるビーム兵器は粒子を加速させ射出する兵器です。
ですので弾速という概念も当然ありますし距離による減衰もあります。
このレール砲は通常のビームライフルよりも威力が高く弾速も速い上、距離による減衰も少ないです。ただ、反動も大きいですし連射もできません。
よって基本的にレール砲は腰部や肩部につけられることが多いです。
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