悪夢―トリの降臨―
みちのあかり
悪夢
あの夢を見たのは、これで9回目だった。
カクヨムのトリの降臨。俺の何倍もでかいそいつは、俺に向かって言う。
「才能がないから書いても無駄だ。儂の餌食となれ」
そう言うと俺の手足を引きちぎり、嫌な音を立てながら骨ごとかみ砕いていく。
「うぎゃぁぁぁ」
リアルな痛みが俺を襲う。トリはニヤニヤしたまま俺の頭を咥えた。
こんな夢を何度も見てみろ。気がおかしくなりそうだ。5回目に見た時、俺はカクヨム運営に電話で問い合わせた。
「こんな夢を5回も見ているんだ。カクヨムで何かしているんじゃないのか!」
対応した女性が「お調べいたします」と言うと保留の音楽が流れた。
イライラしながら待っていると、女性が話し始めた。
「お客様、申し訳ありません。現在ですね、4/3〜5/25よりKADOKAWA児童書編集者主催にて『人工知能×青春小説』を募集する自主企画を立ち上げております」
「はあ」
「そのために立ち上げたAIが暴走を始めまして、夢に入り込むホラーなプログラムが起動しているようです」
「はい?」
「お客様の夢はその暴走に巻き込まれたもの。このままではお客様の命に影響を与える可能性も否定できません」
ちょっと待てよ! 俺の命に影響があるだって!
「その夢を10回見ると、お客様の小説家としての命の灯が消え失せてしまいます」
「ということは?」
「未来永劫、書籍化作家にはなれない呪いが発動します」
「おい、どうしてくれるんだ! どうしたらいい」
「お客様のペンネームをお知らせください」
「ペンネーム? みちのあかりだ」
「みちのあかり様ですね。お調べいたします」
早くしてくれ、書籍化作家の夢が消えるなんて。
「お待たせいたしました。問題はないかと」
「どういうことだ」
「この程度の作品でしたら、はなから書籍化は無理でしょう」
失礼な!
「どうしたら呪いはなくなるんだ」
「カクヨムのトリのストラップを枕元に置いて、『カクヨム最高』と唱えれば」
「じゃあくれ」
「無理です。トリのストラップは景品でしかお渡しすることはできないのです」
「どうすれば」
「KACで皆勤賞を取れば、100名様に抽選で当たります」
それで今俺は必死で小説を書いている。
だからお願いだ。トリをくれ!
(なぜか続きが・・・ https://kakuyomu.jp/works/16818622171244162017 「トリさえくれば大団円」)
悪夢―トリの降臨― みちのあかり @kuroneko-kanmidou
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