第10話 シュメル・オルレアン

 「2人共静かに、こちらに近づいて来る気配が4体、大きさからして目的のゴブリンかと……」

シュメルはゴブリン達の存在に気が付いた様だ。もしかするとこいつは【気配感知】のスキルを持っているのかと思い、この世で俺だけが持つ特技【全知の眼ぜんちのめ】を使って見てみた。


【名前】 シュメル・オルレアン 【種族】 人間

【年齢】19【職業】・剣士【レベル】30

【称号】・剣士・守護者ガーディアン

【HP】400【MP】150

【攻撃力】60【防御力】40【魔力】19

【素早さ】12【魅力】10【運】3

【スキル】・気配感知・精霊の砥ぎ・筋力増加


「ほほう、若いのになかなか良いスキルも持っているじゃねえか! 特に剣士職に最適な【精霊の砥ぎせいれいのとぎ】を持っているのがいい!」

この【精霊の砥ぎせいれいのとぎ】のスキルは、多少の刃こぼれや切れ味が悪くなると自動的に研いでくれるという便利なスキルだ。スキルを持つためには生まれ持ってくるか、地道に鍛えたり学んだりして習得する必要がある。

貴族生まれのこの男が工房に通って習得したとは思えないが……、それより運の低さが気になる……


「スキルとか詳しくは分からん、だがロード殿! アナタなら空から敵の正確な数や武器などの情報も分かるのでは? 宜しければ、貴殿のお力をお借りしたい。ゴブリンと言えど敵は命を狙ってきているのだから。」

ごもっとも、ゴブリンだからって油断すると命取りになる。油断して死んでいった馬鹿は後を絶たないのだ。

コイツが鳥公の俺にへこへこ頼む理由、それは相手が毒の武器をもっている可能性があるからだ。残念なことにこのパーティは解毒薬を持っていない、【神の加護】をもっているカイ以外は、喰らったら急いで王都に戻る必要があるのだ。

放っておくと死ぬかもしれないから。


「ま、アンタの熱心な頼みに乗じてやってやろう。」

俺はコイツの頼みを受けた。翼を広げて上空へ羽ばたいた俺は下からゴブリンどもを眺める。シュメルの感じ取った通り、4体で武器はこん棒や石器の小さい斧、遠距離武器みたいな物はない、勿論ゴブリンシャーマンとかランクが上の奴もいない。

 相手の情報を知った俺は戻ってシュメル達に伝えた。シュメルは敵の情報を知ると、ゴブリン達の方へと向かって行く。ゴブリン達は隠れていることがバレたことに気が付き、飛び出して襲い掛かって来た。

 そこをアデリナの矢が脳天を貫く、シュメルは大剣を振り下ろし一匹を狩る。もう一匹が攻撃しようと襲い掛かったが、アデリナの後方攻撃によって2匹とも倒した。流石、アデリナは慣れている。シュメルもちょっと不格好な所があったが、訓練通りにいけたようだ。

 一方勇者カイは2人の戦いを見る事しかできなくて、悔し顔を作っていた。カリーナはというと……、また何処かへ行っていた様だ。「ごめんごめん!」と言いながら3人のところに駆け寄ってきた。

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