我が人生、最悪の時
福山典雅
我が人生、最悪の時。
憔悴せし我が心胆、寒月の如き煌めき陰り、蒙昧なる恐れがゆえ愚かなり。
闇夜を照らす晴れがましき想い潰え、暗澹たる寂寥のまま、揺らぐ小舟の如く頼りなく躊躇う。余は一人、世情の疎ましきを離れ、ここに悔恨す。
平生の望み薄暮と埋没し、自死すら蒙りかねるは、惰弱なる生来の性質に大いに帰する。身の程知らずな宿願、溺れし人生、繰り返すは詮無き慰めなり。偶々な曖昧にもてはやされしかど、破れ砕け堕ちるさま、心ある人如何に見ゆ。
嘆き幾千言、世に放逐せし無味、我が溺れたる大海、未だ果ては見えず。湧きいでたる雲霞、交わり結びて慰め至るは、表層浅き飽き足らぬ愚鈍なり。茫然たる訝しみ生み出し、我が身の惨痛荒むばかり。
静謐感ずるは、誤魔化し偽り、ただ身の程を知らぬ不遜なり。今に至りておもへば、我が頼りなき心、変わり易きに甘んじる感触、曖昧なる牢獄が如く、立ちきれぬ怨嗟の房といゆ。
ゆえに、憂さと不幸を永劫に刻みたるは、幽静なる境とは言い難く、歓楽遠き愚かな所業、有るか無きかの終焉、無明のままに定まらずを覚ゆ。
我思う。我が人生、最悪の時。
私は無垢なる想いのままに生きて来た。
三島由紀夫の言葉に「現状維持というのは、つねに醜悪な思想であり、また、現状破壊というのは、つねに飢え渇いた貧しい思想である」とあった。
私は平素、人が持ち得る欲望なるものが悪になり得る理由とは、その心根の依存する場所にあり、欲望が悪いのでなく、心根が問題であると思っている。
無垢なる想いを忘れずに、春風が如く私は生きたい。
渇望し、そう願うが故の欺瞞に苛まれる日々。
人は何故に、惨憺たる辛苦を飲まねばならないのか。
ただ静かに闇を見つめる。
この闇に、私は深く身を浸す。
私は静かに生きたいだけなのだ。
あっ、言い忘れたが私は変態だ。
現在、会社の女子更衣室のロッカーに潜んでいる。
ドンドンドン!
「もう、開けなさーい!」
ちなみにパンイチである。ちょっとストレス発散に覗きをしていただけだ。私は悪くない、世間が悪い。忙しいのが悪い。
「もう、このへんたい! 部長、何をしているんですか!! 大人しく出て来なさい!!」
「わ、私は部長ではありません」
「じゃあ、何なんですか!」
「妖精だよ~ん」
警備員に通報された。
我が人生、最悪の時!
我が人生、最悪の時 福山典雅 @matoifujino
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