『私はアイドルの「ア」!』レビュー
── 鬼の一喝から始まる、本物のアイドル物語──
レビュアー:ひまえび
「お前には、アイドルの“ア”の字もない!」
双葉トレーナーの冒頭の一言に、心を鷲掴みにされました。
大河井あき様の『私はアイドルの「ア」!』は、ただの“アイドルもの”ではありません。
それは、「ステージに立つ」ことの厳しさと尊さを、真正面から描いた熱い物語です。
主人公・分目若菜は、自分でも自覚するほど実力不足の研修生。
しかし、その未熟さと直面しながら、厳しいレッスンの中で少しずつ「本物のアイドル」への扉をこじ開けていこうとします。
かつては憧れの存在だった双葉照実が、今はジャージ姿で鬼のように檄を飛ばす――けれど、その姿の奥にある「願い」や「憧れの継承」にこそ、この物語の本質があると感じました。
ここには、可愛さやキラキラだけではない“リアルなアイドルの道”があります。
それを物語として描ける筆致と真摯さが、大河井様の持ち味だと思います。
そしてもう一点、レビューの場を借りて私個人の想いを述べさせてください。
私は先日、自作の投稿に近況ノートのリンクを多数誤掲載していたことに気づきました(詳細はこちらに記しています)。
https://kakuyomu.jp/users/happy-isl/news/16818622172359361158
この致命的なミスを、誰よりも丁寧に、親切に指摘してくださったのが、大河井あき様です。
そのお人柄とご誠意に、私は深く感謝しております。
こうして作品を通じても、また個人としても、真摯に向き合ってくださる書き手の存在は、本当に尊く、励みになります。
『私はアイドルの「ア」!』は、今の時代だからこそ、たくさんの人に読んでほしい物語です。
これからどんな“アイドルの形”が描かれていくのか、続きを心から楽しみにしております。
『今のお前には、アイドルの「ア」の字もない』
こんな言葉を投げかけられ、思い悩む主人公・分目若菜の心の動きがつづられています。果たして主人公に足りないものはなんだったのか、他のアイドルとの交流を通して、その問いに答えを探す成長譚になっています。悩みながらも突き進む主人公の熱い姿には胸を打たれます。
アイドルものとしてディティールが細やかで、研修生になってから練習シーンにいたるまで、その場に参加しているかのような臨場感を味わいました。
一見不思議なタイトルですが、終盤まで読めばそこに込められた意味がわかるでしょう。
アイドル特有の情熱が感じられる一作でした!
主人公 分目若菜は、とあるアイドル双葉照実に憧れて、自身もアイドルを目指すに至った。
そして、
転機が訪れる。
双葉がアイドル育成のコーチを務めると言う。
分目はオーディションに合格し、
双葉の下、ストイックに歌やダンスを学んでいくのだが、
メンバーの中で誰よりも踊れて歌える分目だが、師である双葉に、
「今のお前は、アイドルの『ア』の字もない」と言われてしまい、
アイドルとはなんなのかを模索することになる。
それにしても、分目若菜(わんめわかな)って変わった名前ですよね。
自分はてっきり、母音に「A」つまり「あ」がつく名前にしたかったのかな?と思ってたのですが、だったら『赤坂』とか『赤田』とかありますもんね。
何か理由があるのか……
自分はアイドルに明るくはありませんが、ストイックに目標にひた走る主人公の姿と、「その名前で行くんだ!?」と言う心臓の強さには感服いたしました。
ご一読を!!