KAC20253 妖精

橋元 宏平

伝説の全チート持ち俺TUEEE最強スパダリ妖精おじさん

【ここまでのあらすじ】


 魔法学園の生徒が使い魔を召喚しようとしたら、デブのおっさんが出てきた。


【本編】


 召喚魔法の先生が慌てふためきながら、こちらへ駆け寄って来る。


「そ、そちらにおわしますお方は! もしや、伝説の妖精おじさんではっ?」


「伝説の妖精おじさん?」


 私が聞き返すと、先生は物凄ものすごいきおいで召喚魔法の本をめくり始める。

  

 しばらくすると、とあるページで手が止まった。


 先生は私に向かって、本を広げて見せつけてくる。


「あった! これを読みなさいっ!」


「は、はい。分かりました」

  

 渡された本を読むと、そこには――


いにしえの時代に異世界より召喚された、全チート持ち俺TUEEE最強スパダリである』


 最後まで読んでも、全然意味が分からなかった。


 古代語かな? 


 私は本から目を離すと、先生に向かって片手を上げる。

 

「すみません、先生、質問良いですか?」


「どうぞ」


「全チート持ち俺TUEEE最強スパダリって、なんですか?」


「分かりません。妖精おじさんが召喚されたのは、はるか昔のことです。文献ぶんけんもほとんど残っておらず、その文章もまた、解析不能かいせきふのうなのです」

 

「では、妖精おじさんがなんなのか、誰にも分からないってことですか?」


「ぶっちゃけると、そういうことです」


 先生はあっさりと、「お手上げ」と言った。

 

 結局、正体不明のデブのおっさんってことじゃん。 

 

 いったい、どうすれば……?

       

「と、とりあえず……。私が召喚したんだから、私の使い魔になったんだよね? 私の言うこと、聞いてくれる?」


 デブのおっさん、もとい、妖精おじさんは優しく微笑ほほえんでうなづいた。


 ヤダ、何その笑顔、ステキ……♡


「じゃあ、そこにいる機械人形オートマタを倒してみてくれる?」


 妖精おじさんは真面目な表情に変わり、戦闘用せんとうよう機械人形オートマタと向かい合い、見たこともない戦闘の構えを取った。


 妖精おじさんは機械人形オートマタの足を大きく払い、体がかたむいた直後に投げ飛ばして地面にねじ伏せた。


 あまりにもあざやかな動きで、その場にいた全員が目を見張みはった。


 嘘でしょっ? 戦闘用せんとうよう機械人形オートマタ瞬殺しゅんさつするなんてっ!


 妖精おじさんは手をはたきながら立ち上がると、私に向かって会心の笑みを見せた。


 イヤンもうっ、カッコ良すぎぃ~っ!


 これが、伝説の妖精おじさん……好き♡

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