8



…――――そうして迎えた、旅立ちの前日。



朝から激励会と称して飲んでいたウィルと由良さんが潰れたのは夕方を過ぎた頃だった。



荷物の最終確認をしに部屋に戻ると、あたしを待っていたらしい人影が素早く動き、灯りに照らされた。




「おせぇ」



「っ、シドさん…!」




相変わらずの長身にぴったりと似合う黒のスーツ。



少しだけ短くカットされたシルバーの髪が、ふわりと後ろへ流され揺れる。



ポケットに手を突っ込んだまま、着いて来い、とジェスチャーをする彼。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る