第22話:宮廷薬師


 朝霧が立ち込めるなか、レインとアイリスを乗せた馬車は王都へと続く街道を進んでいた。護衛として王国の騎士が四名同行し、厳重な警備の中での旅となっていた。


「王都まであと半日の道のりです」


 先頭を行く騎士が告げた。レインは窓から外の景色を眺めた。段々と開けてきた平原の向こうに、かすかに都市の輪郭が見え始めていた。


「緊張する?」アイリスが小声で尋ねた。彼女は朝から落ち着かない様子だった。


「少しね」レインは正直に答えた。王族との交流、宮廷の複雑な慣習、そして王子の治療——どれも前例のない挑戦だった。


「でも、私たちにできることをするだけだよ」


 彼は自分に言い聞かせるように付け加えた。アイリスは小さく頷き、窓の外に目をやった。


 馬車は昼頃に丘を越え、そこから壮大な光景が広がった。王都ロイヤルシティ——巨大な城壁に囲まれた都市が、平原の中心に威風堂々と鎮座していた。城壁の中央には王城が聳え、その高い塔は周囲を睥睨していた。


「すごい……」


 アイリスの目が驚きで見開かれた。バレンフォードとは比較にならない巨大都市だった。


「人口は十万人を超えると聞く」レインは説明した。「王国最大の都市だ」


 馬車は王都の南門に到着し、そこで厳重な検査を受けた。王室の紋章入りブローチが役立ち、彼らはスムーズに入城を許された。


「王城へは明日の謁見までお待ちいただきます」護衛の騎士が説明した。「今夜はこちらの宿に」


 馬車は王城近くの高級宿「金鷲亭」の前で停止した。バレンフォードの同名の宿よりさらに豪華な建物だった。


「王女様のご厚意です」


 二人は宿に案内され、最上階の部屋が与えられた。窓からは王城が一望でき、部屋の調度品も最高級のものばかりだった。


「明日の午前、王城への案内がございます」従者が告げた。「本日はごゆっくりお休みください」


 部屋に二人きりになると、アイリスは緊張から解放されたように深いため息をついた。


「ここまで来たのね、私たち」


「ああ」レインも感慨深げに窓の外を見た。「バレンフォードの小さな商会から、まさか王室との関わりを持つことになるとは」


 二人は荷物を解き、明日の準備を始めた。王子のために特別に調合した薬、参考資料、そして王室への献上品としていくつかの高級薬——全てを丁寧に確認した。


「こんなに緊張するのは初めてかも」アイリスが呟いた。


「私は前世で大きなプレゼンテーションをしたことがある」レインは微笑んだ。「でも、王族相手は初めてだね」


 夕食は部屋に運ばれてきた。豪華な料理の数々に、二人は舌を巻いた。アイリスは特に宮廷料理の繊細さに感動していた。


「味付けが絶妙。私たちの薬にも応用できそうね」


 食事の後、彼らは早めに休むことにした。明日は人生の転機となる一日になるだろう。


 ***


 朝日が王城の塔を照らす頃、レインとアイリスは宿を出発した。正装に身を包み、王室への訪問に備えていた。


「緊張しないでくださいね」


 彼らを迎えに来たのはソフィア王女の侍女だった。「王女様もとても楽しみにしています」


 馬車は王城へと向かった。城門をくぐると、そこには想像以上の広大な庭園が広がっていた。整然と刈り込まれた生垣、色とりどりの花壇、噴水——全てが完璧な美しさで配置されていた。


「庭園の向こうが王宮です」


 侍女の案内で彼らは中央の建物へと進んだ。宮殿は白い大理石で造られ、まるで雲の上に浮かぶように輝いていた。


 宮殿の中は、さらに荘厳だった。高い天井、豪華な装飾、壁に掛けられた数々の絵画と王族の肖像画——全てが訪問者に王室の威厳を感じさせるものだった。


「王女様がお待ちです」


 侍女は彼らを一つの部屋へと案内した。ノックの後、中から「どうぞ」という声が聞こえた。


 扉が開くと、ソフィア王女が微笑みながら立っていた。公式の場にふさわしい豪華な衣装を身につけ、小さな冠を頭に載せている。


「レインさん、アイリスさん、お越しくださってありがとう」


 彼女の声には心からの歓迎の意が込められていた。レインは深く頭を下げ、アイリスも同様に礼をした。


「お招きいただき光栄です、王女様」


「どうぞ、座ってください」ソフィアは彼らをテーブルへと誘った。「まずは旅の疲れを癒してください」


 侍女たちが紅茶とお菓子を運んできた。緊張した雰囲気を和らげるように、ソフィアは穏やかに会話を続けた。


「バレンフォードでの素性を明かした時も驚かれましたが、こうして王城でお会いするのも不思議な感じがしますね」


「はい。まさか小さな商会の私たちがこのような場所に」


 レインの言葉にソフィアは微笑んだ。


「運命というものは不思議です。今日はこれから父——国王にお会いいただきます」


 その言葉に二人は思わず緊張した。


「なんと、国王陛下に」


「ご安心ください」ソフィアは優しく言った。「父は気さくな人です。そして、弟を救おうとしてくださるあなた方に、とても感謝しています」


 彼女は少し表情を曇らせた。


「弟の容態は、実はさらに悪化しています。昨夜は特にひどく、朝まで悪夢に苦しんでいました」


「お守りの薬は?」アイリスが心配そうに尋ねた。


「一時的には効くのですが、次第に効果が薄れてきているようです」


 この情報にレインは考え込んだ。単なる不眠や悪夢ではない可能性が高まっていた。


「王子様に直接お会いして、詳しく状態を診させていただきたいです」


「もちろん」ソフィアは頷いた。「午後にはお連れします」


 しばらく話した後、ソフィアは立ち上がった。


「それでは、国王の謁見室へ参りましょう」


 彼女の案内で、レインとアイリスは宮殿の中心部へと進んだ。廊下には多くの衛兵が立ち、厳格な表情で訪問者を見守っていた。


 巨大な二重扉の前で、儀式長が彼らを出迎えた。


「入室の際の礼儀についてご説明します」


 儀式長は彼らに簡単な宮廷作法を教えた。入室時の歩き方、国王への挨拶の仕方、話し方のルールなど、基本的な礼儀作法だった。


「心配しないでください」ソフィアが小声で付け加えた。「形式的なものですから」


 扉が開かれ、三人は中へと招き入れられた。


 謁見室は想像以上に広かった。高い天井、両側に並ぶ柱、そして奥に設置された玉座——全てが荘厳な雰囲気を醸し出していた。


 玉座には一人の男性が座っていた。アレクサンダー四世、現王国の国王だ。五十代半ばと思われる威厳ある男性で、銀色の髪と整った髭を持っていた。彼の目は鋭かったが、同時に穏やかさも感じられた。


 ソフィアが先に進み、父である国王に礼をした。


「父上、バレンフォードから『賢者の商会』のレインさんとアイリスさんをお連れしました」


 国王は静かに頷き、二人に視線を向けた。レインとアイリスは教えられた通りに深々と頭を下げた。


「よく来てくれた」国王の声は意外にも温かみがあった。「娘からは君たちのことをよく聞いている。『静穏の雫』は一時的ながら息子の助けになった」


「お役に立てて光栄です、陛下」レインは誠実に答えた。


 国王はアイリスにも穏やかな視線を向けた。


「エルフの民が王城を訪れるのは珍しい。歓迎する」


「お招きいただき感謝します」アイリスも丁寧に応じた。


 国王はしばらく二人と会話を続けた。バレンフォードの状況、商会の成り立ち、そして薬の作り方について質問した。彼の質問は的確で、単なる儀礼的なものではなく、真の興味を持っていることが伝わってきた。


「さて」国王は少し真剣な表情になった。「本題に入ろう。息子の病について、君たちの力を貸してほしい」


 彼は王子の症状について詳しく説明した。悪夢の頻度、内容、そして日中の症状まで——全ては既にソフィアから聞いていたことだったが、父親としての心配が言葉に込められていた。


「古代都市の夢を見る」国王は考え込むように言った。「それは単なる悪夢ではなく、何か意味があるのではないかと思っている」


 レインはその言葉に関心を持った。


「陛下、古代文明に関する資料を拝見させていただけますでしょうか」


「もちろん」国王は頷いた。「王立図書館を自由に使ってほしい。そこには古代についての文献も保管されている」


 会談は予想以上に長く続いた。最後に、国王は正式に「賢者の商会」に王室御用達の称号を授けた。


「息子を救ってくれるなら、王国の半分でも与えよう」


 国王の言葉には冗談めいた調子があったが、その目は真剣だった。子を思う親の気持ちは、身分を超えた普遍的なものだとレインは感じた。


 ***


 謁見の後、ソフィアは二人を王子の部屋へと案内した。


「弟はまだ眠っています」彼女は小声で説明した。「昨夜の悪夢の後、ようやく朝方に眠りについたのです」


 王子の部屋は宮殿の西翼にあった。部屋の前には二人の衛兵が立ち、厳重に警備していた。ソフィアが声をかけると、彼らは敬礼して道を開けた。


 部屋の中は薄暗く、厚いカーテンが窓を覆っていた。中央にはどっしりとした天蓋付きのベッドがあり、若い男性が横たわっていた。


「弟のエドガー」ソフィアは小声で紹介した。


 レインとアイリスはベッドに近づいた。エドガー王子は二十歳前後と思われる青年で、ソフィアに似た金色の髪を持っていた。しかし、その顔は疲労で蒼白く、眉間にはしわが寄っていた。眠っているにも関わらず、安らかな表情ではなかった。


 アイリスは静かに王子の脈を取り、状態を確認した。エルフの感覚を活かした独自の診察法だった。


「生命力は強いわ」彼女は小声で言った。「でも、精神的に消耗している」


 レインも王子の状態を観察した。彼の鑑定能力は物だけでなく、生物にも適用できた。ただし、限定的ではあった。


「確かに生命力は強い。しかし……」彼は眉をひそめた。「何か別の力が影響しているように感じる」


「別の力?」ソフィアが不安そうに尋ねた。


「まだはっきりとはわかりません」レインは慎重に言った。「調査が必要です」


 その時、エドガー王子が小さく呻いた。彼の眉間のしわが深くなり、体が小刻みに震え始めた。


「また悪夢が」ソフィアは心配そうに兄を見つめた。


 アイリスは素早く行動した。彼女は持参していた「静穏の雫」の改良版を取り出し、王子の唇に数滴垂らした。


「これで少しは楽になるはず」


 数分後、王子の表情が和らいでいった。震えも止まり、呼吸が規則的になった。


「効いています」ソフィアは安堵した様子だった。


 レインとアイリスは王子の状態をさらに詳しく調べた。その結果、彼らは部屋を出て、ソフィアに所見を伝えた。


「王子様の症状は確かに通常の病とは異なります」レインは真剣に言った。「何らかの外部からの影響、特に魔力的なものが関与している可能性があります」


「弟は魔力に敏感なのです」ソフィアは説明した。「子供の頃から、常人よりも魔力を感じる能力がありました」


「それが関係しているかもしれません」


 アイリスも意見を述べた。「王子様の夢に出てくる古代都市と、彼の魔力感受性には何らかの繋がりがあるように思えます」


 ソフィアは考え込んだ。


「では、古代文明の研究から手がかりを探すべきでしょうか」


「はい」レインは頷いた。「王立図書館に案内していただけますか」


 ***


 王立図書館は宮殿の東翼にあり、王国最大の知の宝庫だった。入口には二人の学者らしき人物が控えていた。


「レインさん、アイリスさん」ソフィアが紹介した。「こちらが王室図書館長のハーマン博士と、宮廷薬師長のエイブラム博士です」


 二人の学者はレインたちを興味深そうに見つめていた。特にエイブラム博士は、アイリスに強い関心を示した。


「エルフの薬草学は常々興味を持っていました」彼は嬉しそうに言った。「ぜひ知識を共有させていただきたい」


「喜んで」アイリスも笑顔で応じた。


 図書館内部は想像を超える規模だった。天井まで届く本棚が何列も並び、階段や梯子が各所に設置されていた。書物の数は数万冊と思われた。


「古代文明の資料はこちらです」


 ハーマン博士は彼らを奥の特別室へと案内した。そこには古びた巻物や革表紙の本が、ガラスケースに収められていた。


「これらは王国建国以前の文献です。解読が難しく、完全に意味が理解できているものは少ないのです」


 彼は数冊の本をテーブルに広げた。そこには古代文字で書かれた文章と、不思議な図形が描かれていた。


 レインはそれらを熱心に観察した。彼は前世の知識とギルバートから学んだことを組み合わせ、文献の解読を試みた。


「これは……『創造者の工房』についての記述ではないでしょうか」


 彼の言葉にハーマン博士は驚いた様子を見せた。


「その通りです! よくわかりましたね」


 レインは図に描かれた都市の構造に注目した。複数の塔と中央の大きな建物、そして周囲を取り巻く壁——これは王子の夢に出てくる都市の描写と一致していた。


「王子様の夢に出てくる都市は、この『創造者の工房』だと思われます」


 一方、アイリスとエイブラム博士は王子の治療法について話し合っていた。エイブラム博士は「静穏の雫」に強い関心を示し、その成分や製法について質問した。


「これまでにない高い効果です」彼は感嘆した。「王室の薬師たちも太刀打ちできなかった」


「エルフの伝統的な調合法と、レインの科学的アプローチの組み合わせなんです」アイリスは誇らしげに説明した。


 昼過ぎ、ソフィアが再び現れた。


「弟が目を覚ましました。お二人に会いたいと言っています」


 ***


 再び王子の部屋を訪れると、エドガー王子はベッドに起き上がっていた。彼の顔色は朝よりも良くなっていたが、まだ疲労の色が残っていた。


「あなた方が『賢者の商会』の方々ですか」


 王子の声は落ち着いており、礼儀正しかった。


「はい、バレンフォードからまいりました」レインは丁寧に挨拶した。


「姉上から聞いています」エドガーは微笑んだ。「あなた方の薬のおかげで、久しぶりに安らかに眠れました」


「お役に立てて嬉しいです」アイリスも笑顔で応じた。


 王子はレインとアイリスの目をじっと見た。そこには知的な光があった。


「私の夢について、何かわかりましたか?」


「はい」レインは頷いた。「王子様の夢に出てくる都市は、古代の『創造者の工房』だと思われます」


「創造者の工房……」エドガーはその言葉を噛みしめるように繰り返した。


「古代の賢者たちが築いた場所で、王国建国以前の高度な魔法と技術が集積されていたとされています」


 王子は驚いたように目を見開いた。


「夢の中で私は、その都市が崩壊していく様子を見ています。人々が逃げ惑い、巨大な影が都市を飲み込んでいく」


 彼の描写は詳細で、夢の鮮明さを物語っていた。


「そして最近は」彼は声を落とした。「夢の中で私を呼ぶ声が聞こえるようになりました」


「声ですか?」レインは興味を持った。


「ええ。『来たれ、選ばれし者よ』と」


 その証言に、部屋の中が静まり返った。レインはこれが単なる悪夢ではなく、何か意図的なメッセージである可能性を感じた。


「王子様、あなたは古代の『創造者』から選ばれた可能性があります」


 エドガーは混乱した様子で尋ねた。「なぜ私が?」


「王子様の魔力感受性です」アイリスが説明した。「特別な資質を持つ方だけが、このようなメッセージを受け取れるのでしょう」


 彼らは夕方近くまで王子と話し合った。エドガーは知的で思慮深い青年で、自分の状況を理性的に受け止めようとしていた。


「私の夢が何かの手がかりなら」彼は決意を込めて言った。「それを解明したい」


 ***


 夕食は王室の小宴会場で提供された。国王とソフィア王女も同席し、レインとアイリスを歓待した。宮廷薬師長のエイブラムも招かれていた。


「王子の状態はいかがでしょう?」国王が真剣な表情で尋ねた。


 レインは今日の発見を報告した。古代文明との関連性、王子の夢の意味、そして今後の調査計画について。


「息子の治療を最優先に」国王は言った。「必要なものは何でも用意しよう」


 エイブラム博士は突然立ち上がった。


「陛下、提案があります」


 国王が頷くと、彼は続けた。


「レインさんとアイリスさんを宮廷薬師として任命してはいかがでしょう。そうすれば、王子の治療を継続的に行えますし、王立図書館の資料も自由に利用できます」


 その提案に一同は驚いた。特にレインとアイリスは予想外の展開に言葉を失った。


「それは良い考えだ」国王は前向きに応じた。「どうだ、君たちの意見は?」


 レインは一瞬考え、アイリスと目を合わせた。彼女も小さく頷いた。


「光栄です、陛下」レインは答えた。「ただ、バレンフォードの商会もあります。定期的に往復させていただけますでしょうか」


「もちろんだ」国王は理解を示した。「城内に部屋を用意し、必要に応じて行き来してほしい」


 こうして、レインとアイリスは正式に宮廷薬師に任命された。エイブラム博士は喜んで彼らを薬師団に迎え入れることを約束した。


 夕食後、ソフィアは二人を庭園に案内した。夜の静けさの中、三人は今後の計画について話し合った。


「これからの調査方針は?」ソフィアが尋ねた。


「二つのアプローチが必要です」レインは説明した。「一つは王子様の治療の継続。悪夢を抑え、体力を回復させることです」


「もう一つは?」


「古代文明、特に『創造者の工房』についての調査です。王子様の夢との関連を明らかにする必要があります」


 アイリスも意見を述べた。


「王子様の魔力感受性についても調査したいです。なぜ彼がこのようなメッセージを受け取るのか」


 ソフィアは思案した。


「王都には古代研究に詳しい学者が数名います。彼らの協力も得られるよう手配します」


 星空の下、三人は未来への計画を練った。これは単なる治療ではなく、王国の歴史と未来に関わる重大な調査になるかもしれなかった。


 ***


 その夜、レインは宿に戻り、バレンフォードの商会に通信結晶で連絡した。ガルムが応答し、商会の状況を報告してくれた。


「こちらは順調だ。心配するな」


「ありがとう」レインは安堵した。「実は、私たちは宮廷薬師に任命された」


「なんだって!」ガルムの驚きの声が結晶から響いた。「すごいじゃないか」


 レインはこれまでの経緯と今後の予定を説明した。彼とアイリスは王都と商会を行き来しながら、王子の治療と古代文明の調査を進めることになる。


「おい、グランツのことだが」ガルムが声を落とした。「ヴァルターがお前の王都訪問を知って、何か画策しているらしい」


「具体的には?」


「詳細はわからん。だが、新たな動きがあったら即座に連絡する」


 通信を終えた後、レインは窓から王城を見つめた。宮廷薬師としての新たな役目、古代文明の謎、そしてグランツの動き——様々な思いが交錯した。


 アイリスがそっと隣に立った。


「大きな変化ね」


「ああ」レインは頷いた。「でも、これは私たちの使命の一部なのかもしれない」


 彼は真理の結晶を手に取った。


「先生、私たちはまた新たな一歩を踏み出しました。これからどんな展開が待っているのでしょう」


 結晶は静かに輝いた。窓の外では、夜空に満月が浮かび、王城を銀色に照らしていた。


(第二十二話 終)

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