【2/20第一巻発売】スナイパー・イズ・ボッチ ~一人黙々とプレイヤースナイプを楽しんでいたらレイドボスになっていた件について~

空松蓮司

JKボッチと神ゲー編

第1話 喋りたくないから撃ちます

 『GunガンFightファイトOn-lineオンライン』。通称:ガンファト。

 武器は銃のみのVRMMORPG。ファンタジー世界を銃で攻略する、というのがこのゲームのコンセプトだ。


 武器が銃しかないという点を除けば仕組みは通常のVRMMORPGとそう変わりない。魔物やプレイヤーを倒すとレベルが上がって強くなる。魔物のドロップ品やプレイヤーのドロップ品を使って新しい装備を手に入れる。強くなって戦って勝って強くなってを繰り返すゲーム。


 もうかなり前のゲームなのでそれはもう過疎っている。別に、特別ゲームとして優れている点はない。

 ならばなぜ、僕がこのゲームを2000時間もやり込んでいるか。それは……人と喋らなくていいからだ。


 プレイヤーと戦う際は当然銃撃戦。喋れる距離まで近づくことは稀だ。過疎ゲーだから人はそんなにいないし、ギルドシステムもさほど重要でないからギルドに入らなくても良し。素晴らしい。


 今日も今日とて過疎過疎の廃城狩り場で狩りライフを満喫……するはずだったのだが、


「げっ」


 プレイヤーアイコンがレーダーに映った。

 廃城の40階からライフルのスコープを覗くと、3人パーティがこっちに向かって来ているのが見えた。荒地を談笑しながら歩いている。


 うわ……目的地絶対ここだ……嫌だなぁ。


「……撃つか……喋りたくないし」


 バン! バン! バン! はい3キル。


「悪く思わないでね。許可なくコミュ障に近づいたのが悪い」


 というのは冗談で、このゲームではプレイヤーを倒すと経験値やドロップアイテムがかなり貰えるためプレイヤーキルは日常茶飯事であり、キルされたとて相手のプレイヤーを掲示板に晒したりとかは無い。やられた方が悪い。これである。あんな見晴らしの良い場所でレーダープロテクト(レーダーにアイコンが映らなくする装備)を外しているのはただの馬鹿だ。


「さてと、今日は60階まで行こうかな。全123階……まだまだ旅は長い」


 そして次の日――


「え?」


 僕は廃城のセーブポイントでログアウトして、またログインしたのだが……。


「なんかめっちゃいる!?」


 10、11、12……14人。60階の窓から見える範囲だと荒地に14人いる。

 昨日、僕が3人組を撃ち殺した辺りだ。高低差抜きにして距離2km。昨日の3人組もいる。なんか現場検証のように現場を改められている。

 まさかギルドか? ギルドで仕返しに来たのかな!?


「めんどくさいなぁ……」


 このままだとこっちに来るだろうし、またキルしよ。

 全員を狙撃し、キルする。

 はからずして大量の経験値が入る。ドロップアイテムは敵をデリートした地点に落ちるため、入手は諦めた。取りに行くのめんどくさいし、この程度のプレイヤーが僕が求める程のアイテムを持っているはずもない。


「……潮時かな。いやでもあと少しだしなぁ……」


 ここは超高難易度ダンジョン。レアアイテムの宝庫だ。

 正直そこらのプレイヤーがこの城に到達したところで10階にすらたどり着けないだろう。

 僕はこのゲーム内のトップ層だと思うが、それでも3日潜って60階。ここで退却するのは……嫌だな。もったいない。


「仕方ない……籠城戦だ」


 それから僕は城に近づくプレイヤーを狙撃しつつ、城の探索を進めた。

 時に狙撃、時に城に侵入してきたプレイヤーを闇討ちで潰す。この城は10階毎にセーブポイントがあり、一度到達したセーブポイントには他のセーブポイントから飛ぶことができる。だからログアウト中に城内に入ってきた連中をセーブポイント付近で待ち伏せし、潰すことは容易なのだ。僕はギミックも敵モンスターも知り尽くしているから、上手くそれらの要素を利用してけしかけることも可能。


 ふふふ……落とせるものなら落としてみよ。この不落の城を……!











《GunFightOn-line レイド戦メンバー募集掲示板》


『廃城アビスにて突発レイド発生。レベル150以上条件で募集。やべぇ奴がいる』

『なんかおもろそう。詳細よろ』

『アビスってあの難易度カオスの鬼畜ダンジョンだよな』

『ウチのギルドメンバーがレベ上げ目的でそこに近づいただけで狙撃された。廃城を守る狙撃手がいる』

『じゃあプレイヤーじゃんwww なんだよ突発レイドって。笑わせんな』

『今日ギルド総動員(40人)で攻めたけど全滅した。城にたどり着けたのが5人いたけど城の中で闇討ちされたらしい。ちな全員150レベル以上な』

『マジ……?(戦慄)』

『相手1人?』

『1人なわけねーだろ。あの城1人でどうこうできるレベルじゃねぇぞ』

『いや1人っぽい。他は誰もいなかった』

『おたくのギルドがクソ雑魚だっただけちゃうん?(笑)』

『口だけならなんとでも言える。自信あるなら来いや』

『ふぅ~、やれやれ(指ポキポキ)』

『久々に……やっちゃいますか?(にちゃあ)』

『とりあえずそのスナイパーに『アビス・ホーク』って名前付けた。馬鹿みたいな威力のライフル持ってるから装備は防御より回避に振った方が良い。アビスに籠ってるから完全に上は取られてるし、射程が違い過ぎて狙撃戦じゃ勝負にならないから狙撃はオススメしない。後でアビス・ホークとの戦闘動画貼るから確認よろしく』

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