信長はみんなに向き直り…。

「…さて、一向一揆の方をどうするか?」

 本題に入った。


「殿、一向宗は比叡山が仕切ってるんですよね?

 だったら元を潰してしまいましょう!」

 武闘派の佐々政成が声を上げた。

「比叡山を攻めるのか?

 …だがな、あそこは仏教の大元でもあるんだぜ」

「そうです!

 比叡山を潰すなんて反対です!」

 明智光秀が猛反対だ。


「しかし、比叡山の僧侶どもは朝廷や幕府にも口を出して、我らの邪魔ばかりしてるではないか!」

「…だからと言って、比叡山を攻めたら全ての仏教徒を敵に回す事になる」

「放っておいたら本願寺の連中も本格的に加わってくるぞ」


 会議は比叡山に対してさまざまな意見が飛び交った。

「光秀、将軍や朝廷の側にいる坊主どもはどうにかならないのか?」

「…難しいですね

 上様が許さないですよ」

 信長の問いに光秀は首を横に振った。

「…じゃあ、どうするんだよ?

 これからも寺や坊主は必要だろ?」

 信長は頭を抱えた。


「信長様、元凶を絶たないと同じことの繰り返しになりますよ

 これからの日の本に比叡山は要らないと思います」

 横で静かに聞いていた帰蝶が意見した。

「し、しかし帰蝶様!それでは…」

 光秀が食い下がろうとした。

「光秀の言いたい事は分かりますが、今の比叡山は僧侶の本分からは逸脱しています

 何故、僧侶が先導して一揆を起こすのですか?

 何故、政治に口を挟むのですか?

 比叡山の僧侶は僧侶の本分を蔑ろにしてるのです

 ですから、比叡山は潰して僧侶の本分に戻ってもらいます」

 帰蝶の言葉に、信長や光秀、その場にいた者全員が納得した。



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