織田軍は浅井家が治める琵琶湖の湖畔で休憩した。

「ここが日の本一と云われる湖か…」

 当時は気軽に旅行なども出来なかったので、信長を含め初めて琵琶湖を見る者も多かった。


「殿、浅井長政様が足利義昭様に挨拶したいと訪れて来ました」

 部下の報告と共に長政と市が揃って現れた。

「信長殿、日の本一の琵琶湖の眺めはどうですか?」

「お兄様、京に行くならお土産期待してますわよ!」

「おぉ、わざわざありがとうな」

 挨拶もそこそこに、信長は長政を義昭に紹介した。

「義昭様、この辺りを治める浅井家の当主長政殿です」

「朝倉にいた時に名前は聞いていた…

 若いのに家督を継いだそうだな

 私が将軍になったら宜しく頼むぞ」

「はっ、勿体ないお言葉…」

 長政達は一通り挨拶を済ますと帰って行った。

「…さて、明日は六角家の領地か?

 出来れば穏便に済ませたいな…」

 信長は淡い期待を抱く。



 六角家の領土に入るとすぐにちょっかいを出してきた。

「織田家は意地でも通さん!!」

 当主六角承禎が立ち塞がった。

「次期将軍、足利義昭様の御前だぞ!?」

「ふん!今更、将軍家など怖くも何ともないわ!」

 承禎の鼻息は荒かった。

「やっぱり、こいつはダメか…

 勝家!ちょっと痛い目にあわせてやれ!」

「殿!お任せあれ!!」

 信長の号令で先鋒の武闘派部隊が六角軍に襲い掛かった。

 承禎はともかく、配下の武将には将軍家と戦う事に反対する者もいた。

 優秀な武将の何人かは降伏し織田家の軍門に下った。


 劣勢になった六角家は観音寺城に引きこもり籠城戦となったが、勢いのある織田軍を止める事は出来ずに敗北した。


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