第四話 墨俣一夜城  

 強敵今川義元を討ち取った織田家は、しばらく勝利の宴会続きで安穏としていた。


「殿!一大事です!!」

 そんな最中、信長の義父、斎藤道三が長男義龍に討たれたと急報が入った。

 道三は家督を元々不仲だった嫡男義龍ではなく弟に継がせようとした。

 それに不満を爆発させた義龍が弟を殺して挙兵し道三を討ったのだ。


「何っ!親父殿が義龍に殺られただとっ!?」

 それを隣で聞いていた帰蝶が激怒する。

「信長様!すぐに義龍を討って下さい!」

「しかし、お前の弟だぞ…」

 信長は帰蝶を気遣うが、帰蝶は怒り狂っていた。

「父上の仇です!もう弟でもなんでもありません!!

 信長様がやらないのなら私がやります!」

 帰蝶は信長の刀を奪った。

「帰蝶様!落ち着いてっ!」

 すぐに藤吉郎が止めに入った。

 側近数人とでなんとか帰蝶を押さえ付け刀を取り上げた。

「と、とにかく、斎藤家とはまだ同盟関係にあるんだ!

 猿、みんなを集めろ!」

 信長は緊急会議を開く事にした。



 程なくして斎藤家は織田家との同盟を破棄したと宣言する。



 織田家では家臣達が集められ、斎藤家対策の会議を始めた。

「斎藤家と戦になるならこの稲葉山城を攻略しなくてはなりませんな」

 勝家が地図を指差す。


 当時の地図は大まかな地形を示しているだけだが、稲葉山城はその名の通り山の上にある。

 斎藤道三が築いた難攻不落の山城と言われている。

「あそこは小牧山城や犬山城からでも結構遠いんだよな…

 攻め混むのに何日も掛かるぞ…

 この辺りに拠点が欲しいよなぁ」

 信長は地図のある場所を指差した。


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